【NY市場】ドル円は110円台を堅持 前日からの流れ継続

 きょうのNY為替市場はドル買い戻しが優勢となり、ドル円は110.45付近まで一時上昇した。前日のNY市場からの流れを引継いでいる格好で、この日発表になった米GDP改定値やADP雇用統計が予想を上回る内容だったことがその動きをサポートしている。

 米GDP改定値は個人消費の上方修正が寄与し、前期比年率換算で3.0%に上方修正された。また、8月のADP雇用統計は23.7万人増と予想を上回る内容となり、金曜日の米雇用統計への期待感を高めている。

 先週のジャクソンホールでのイエレン議長やドラギECB総裁の講演を受けドル売りが強まっていた中、北朝鮮が日本上空を通過するミサイル発射実験を行ったことでリスク回避の雰囲気が加わりドルは売りが加速していた。ドル円も108円台前半まで急落。

 ただ、米国勢は北朝鮮問題に関して意外なほど楽観的で、米経済全体への影響は限定的との見方が強まっている。この先もリスクではあるが、エスカレートすることはなく、いずれ終息して行くとの楽観的な期待もあるようだ。

 米経済のファンダメンタルズに焦点が移れば、ドルは売られ過ぎとも言えなくはない。きょうもそうだが、このところ発表になっている米経済指標はインフレこそ鈍化傾向にあるものの、その他の指標は4-6月から改善傾向が見られている。この先、インフレ鈍化が更に加速しなければ、年内あと1回の利上げの可能性は十分に残る内容。

 ただし、今後、債務上限引き上げ問題や税制改革など重要課題に入る中、トランプ政権への不透明感は根強く、ドルの本格的な買い戻しへの期待にはまだほど遠い状況にはありそうだ。

 ドル円は110円台を堅持した。伸び悩む場面もあったが、21日線の上をしっかりと維持しており、この先リバウンド相場に入って行けるか注目の展開が見られている。まずは金曜日の米雇用統計に向けてしっかりと110円台を固めることができるか注目となりそうだ。

 一方、ユーロドルは軟調で1.18台に値を落としている。前日のNY市場から利益確定売りが強まっており、きょうもその流れが続いている。前日は有事のユーロ買いとも言える買いが強まり、ユーロドルは一時心理的節目の1.20ドル台に上昇していた。

 ただ、きょうの下げはあくまで調整の範囲で、ECBがユーロ高けん制に何らかの具体的なアクションを起こすまではユーロ買いは続くとも見られている。

 きょうは欧州委員会から域内の7月の景況感指標が発表になっていたが、2007年以来の高水準に上昇していた。特にイタリアの景況感の上昇が目立ち、景気回復のモメンタムが域内全体に広がっていることが確認されている。来週か10月になるかは未知数だが、ECBが出口戦略を打ち出してくる可能性は濃厚だ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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