きょうのNY為替市場でドルは上に往って来いの展開となった。ドル円は一時115円台を回復も、終盤になって114円台に戻している。朝方発表になった米経済指標がいずれも予想を上回る内容だったことを受けてドル買いが加速した。前日のイエレンFRB議長の講演後の流れを引継ぐ格好。また、きょうはECB理事会が行われておりドラギ総裁が会見で、「インフレ基調は依然弱い」との認識を再表明したことから、ユーロドルが下落したこともドルをサポートした。
しかし、後半になるとその動きも続かず、ドルは利益確定売りが強まっている。特段の悪材料は見当たらなかったが、米株が軟調な動きを続けており、米国債と伴に利益確定を誘ったようだ。
米株式市場ではじり安ではあるが、ダウ平均の下げが続いている。前日のイエレン講演からドルと米国債利回りは上昇しているものの、株式市場はポジティブな反応を見せていない。米国債利回り上昇にもかかわらず銀行株も下落しており、若干気掛かりな動きではある。
なお、きょうは次期米財務長官に指名されているムニューチン氏の米上院財務委員会での公聴会が行われていた。ドルに関する発言が注目されたが「ドルは非常に、非常に強い」と言及した一方で、「ドルの長期的な強さは重要」との認識も示していた。また「自身の役割は短期的な動きにコメントすることではない」とも語った。この発言に市場は、若干消化不良だったようで、反応は限定的となった。ただ、米財務長官の発言としては満点なのであろう。
ドル円は朝方、115円台を回復し、一時115.60近辺まで上昇。心理的節目の115円付近には売り圧力も観測されていたが、それを突破してきている。ただ、後半になると、急速に失速し始め、114円台半ばまで下落し、前半の上げを帳消しにする展開となった。
きょうは115円を維持できなかったが、このまま再び下値模索に戻るか、それとも、昨年末の上昇軌道に戻せるか、明日のトランプ氏の大統領就任式後の動きが注目される。TPPからの離脱とNAFTAの再交渉は表明するようだ。目先の下値は114.30付近が意識される。イエレン講演直後に売買が激しく交錯していた。
ユーロドルも下に往って来いの展開。ECB理事会後の会見でドラギ総裁は「資産購入拡大ペースの縮小は協議されなかった。インフレ基調は依然として弱い」と述べていた。12月理事会と同様の内容ではあったが、今月発表のインフレ統計が上昇を示唆し始めていたことから、何らかの変化があるのではとの期待も一部にはあったようだ。しかし、大方の予想通りに無かったことで改めて売りを誘っていた。一時1.05台に下落する場面も見られたが、後半のドル売りで朝方の水準に戻している。
ユーロ圏のインフレについてドイツなどからは、早期の利上げを求める声が出ている。ただ、現段階ではあくまで、エネルギー価格上昇が主因となっていることから、ECBも確信には至らないのであろう。
ただし、今後もインフレの上昇が続き、エネルギー価格上昇が他にも波及してくるようであれば、資産購入のペースの縮小も視野に入るものと思われる。ただし、ユーロ圏では、英EU離脱や選挙のリスクが内在しており、それとの兼ね合いも重要な要素となる。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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