きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となった。材料としては、ハト派で知られるエバンス・シカゴ連銀総裁が12月利上げの可能性を示したことや、米大統領選の2回目のTV討論会でもクリントン氏の優勢が伝わっておりドル買いに安心感を与えていたようだ。
先週発表のISM指数や米雇用統計を受けて、市場は年内の利上げ期待を強めている。ただ、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチは、12月FOMCでの利上げ確率は約70%となっておりほぼ織り込んでいる状況。更にドル高が続くには来年の利上げも期待できそうな、もう一段の材料がほしいところでもある。
ただ、ドル円は戻り売りに押される展開となった。一時103.20付近まで下落。為替市場自体はドル高の流れが強まったものの、今週から米企業の決算発表シーズンに入っており、そのこけら落としとして発表になったアルコアの決算が失望的な内容だったことから、米株式市場でダウ平均が200ドル超急落しており、ドル円を圧迫したようだ。
本日の100日線は103.40付近にきているが、その水準を再び下回っており上値も重い印象。目先の下値サポートとしては、米雇用統計後の安値102.85水準が意識される。
一方、ユーロドルは1.10台半ばまで下落。きょうの下げで8月下旬以降強固なサポートとなっていた1.11台前半の水準をブレイクしており、テクニカル的には下放れのサインが出ている。
先週はECBが、現在実施している量的緩和(QE)に関して、期限である来年3月までに縮小開始でコンセンサスを形成しようとしているとの観測も流れていた。ただ、一部からは、市場にそのような観測が強まれば、欧州国債市場のイールドカーブを急上昇させる危険性もあり、少なくとも6ヵ月間は延長すべきとの意見も出ている。ドラギECB総裁は先週の講演で、必要であれば、更なる行動も辞さない構えを強調し、他のECB幹部もそのような観測報道を完全否定していたが、市場では憶測が燻っているようだ。
ポンドの下げが止まらない。ポンドドルは一時1.20台に下落し、ポンド円も一時125円を割り込んだ。先週末に突如の暴落が発生したが、誤発注にアルゴリズム取引が加わったのではとの憶測が流れていた。原因は不明で当局の調査を待つ状態。ただ、市場は一時的なショックとはみなしておらず、ポンドの下値目標を下方修正してくる向きも多く出ており、ポンドは依然として31年ぶりの安値更新が続いている状況。
このポンド安を受けて、一部には11月の英中銀金融政策委員会(MPC)では追加利下げは必要ないとの見方も出ている。6月の国民投票以降、ポンドは対ドルで約18%も下落。このポンド安で、市場にはインフレ期待が高まっており、英10年債利回りは一時1%台を回復している。
英中銀が追加利下げを実施して、これ以上ポンド安が加速するようであれば、インフレ期待から英長期金利が過度に上昇する可能性がある。第3四半期の英GDPは第2四半期からは鈍化しそうだが、足元の指標は当初の予想ほど悪くはない。ここは利下げを温存しておくべき局面との指摘も聞かれる。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
コメントを残す