きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は110.20近辺まで下落している。先週末の米GDP速報値を受けたドル売りの流れが週初も続いており、北朝鮮のICBM発射などもあってドル円は上値が重い展開となっていた。
ただ、下値では押し目買いも見られていたが、午後になってトランプ大統領がスカラムッチ氏を広報部長の職から解任したことが伝わるとドル円は売りを強めている。スカラムッチ氏は今月就任したばかりで、それに反対しスパイサー前米大統領報道官が辞任している。
トランプ大統領に関する雑音が依然として消えない中、市場では政権運営に不安感が高まっている。トランプ大統領の側近によると、減税法案の下院通過は10月、上院は11月の見通しだと述べていたが、市場ではヘルスケア法案も宙に浮いた中、税制改革やインフラといった経済政策を断行できるのか不透明感を強めている模様。
一方、ユーロは上値追いが加速し、ユーロドルは1.18台に上昇。日本時間0時のロンドン・フィキシングにかけて急速に買いが強まった。特段の材料はなく本日は7月末ということから月末の実需買いが大量に入ったものと思われる。ただ、フィキシング通過後も高値水準を維持し、そこにスカラムッチ氏の解任も手伝って、ユーロドルは一時1.1845近辺まで上昇。2015年1月以来の高値水準を更新している。
きょうは7月のユーロ圏消費者物価・速報値が発表されていたが、総合指数で前年比1.3%、食品・エネルギーを除いたコア指数で前年比1.2%となっていた。コア指数が予想を上回ったことでユーロ買いの反応も見られたが、ECBの目標からは依然として低い水準にはある。向こう数ヵ月、インフレが6月水準に留まるとのドラギECB総裁の予想を裏付ける内容ではあった。
9月か10月に資産購入ペースの縮小の発表が見込まれているが、明確にその方向性を打ち出すのは容易ではなく、慎重なオペレーションがECBには求められそうだ。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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