【NY市場】米CPI受け米利上げ期待後退 ドル円は一時108円台

 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となった。朝方発表の米消費者物価(CPI)が予想を下回る内容だったことがドルを圧迫した。年内の米利上げ期待が後退し、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは年内の利上げ確率は36%程度まで下がっている。前日は47%程度だった。

 とはいえ、コアCPIは小幅ながらも4ヵ月連続で前月比増加しており、前年比では1.7%を維持している。利上げが全くできないというほどの弱さでもなく、この先の指標を更に確認したい面もある。

 先週の米雇用統計が強かったことからムードに変化も期待されたが、北朝鮮問題などでリスク回避の雰囲気も広がり、今週のドルは上値の重い展開となった。きょうのCPIの発表がダメ押しとなりドル反転への期待は一旦完全に後退している。

 ドル円は一時108.75付近まで下落する場面も見られた。米株が反発していたことでそれ以上の下げはなかったが、ポイントとなっていた108.80水準を一旦下回っている。108.80水準を完全にブレイクするようであれば、4月に付けた年初来安値108.15付近が視野に入る。

 一方、ユーロドルは買戻しが強まった。ロンドン時間の1.17台半ばから1.18台を回復した。一時1.1845付近まで上昇。

 ユーロ高についてECBも頭を悩ませているものと思われる。1.20を超えてユーロ高が進むようであればインフレ見通しに確実に影響する。景気回復の兆候が強まっており、それをもってECBは出口戦略に乗り出そうとしている。しかし、インフレに関しては期待が高まりそうな気配はない。米国もインフレ鈍化傾向が見られているが、ユーロ圏も歩調を合わせるように同様の傾向が見られている。

 現段階ではECBが具体的にユーロ高是正に何らかの行動を取るとの見方は少ないが、秋にも言及すると見られている出口戦略が市場の期待よりも緩やかな可能性は留意される。現在の市場のコンセンサスは、現状の月間600億ユーロのペースでの資産購入を年内まで続け、来年の上半期は月間400億ユーロに購入ペースを縮小することがコンセンサスとなっている。

 ポンドも上昇し、ポンド円は200日線が控える142円ちょうど付近まで戻している。前日は200日線を割り込む動きとなり下値警戒感も強まっているが、来週以降の動きが注目される。

 来週は英重要指標が目白押しとなる。英消費者物価(CPI)や英雇用統計、そして英小売売上高などが予定されている。ただ、先週の英中銀金融政策委員会(MPC)を受けて英利上げ期待は完全に後退しており、その期待を確認する週になりそうだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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