きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となっている。きょうはECB理事会やコミーFBI前長官の議会証言が行われたが、概ね市場の予想範囲内で波乱なく通過している。9日の東京時間になると思われるが、英総選挙の結果待ちといったところ。
コミーFBI前長官の議会証言では、トランプ大統領からは、フリン氏捜査の中止に関して「命令はされていない」と述べていた。一方で、トランプ大統領との会話のメモが流失した件については「特別検察官の設置につながると思いメモ流出を望んだ」とも語っている。ほぼ前日伝えられていた内容から逸脱した部分はなく、今回の証言に関しては、疑わしいものの決定打も無いといった雰囲気が市場には広がっている。少なくともネガティブな反応はなかった。
一方、ECB理事会は、利下げの可能性示唆するガイダンスを削除した一方で、量的緩和については12月まで継続し、必要に応じて延長するとの文言を残している。ドラギ総裁も会見で「景気のリスクは概ね均衡」と、これまでの「下振れリスクは残る」から変更させていた。また、前日に伝わっていたが、ECBスタッフ見通しでは、2019年までのインフレ見通しを下方修正した。出口戦略に一歩踏み込んだ印象ではあるが、慎重姿勢は残す内容となっている。
ドル円は一時110.35付近まで上昇し、200日線が控える110.45付近をうかがう動きも見せていた。ただ、米株や米国債利回りが伸び悩んだこともあり、ドル円も後半は伸び悩む展開となった。
ただ、コミー氏の証言の事前テキストが伝わった前日のNY時間の後半以降、きょうにかけての動きを見ると、ドル円に底堅さが出てきた雰囲気もある。前日はコミー証言の事前テキストが伝わり109.80付近に上昇。そのまま水準を維持してNY時間を終えた。きょうは日銀の出口戦略に関する報道で売りが強まったが、直ぐに下げを取り戻し、110円台を回復させている。そして、前日の報道通りにECBは、インフレ見通しの下方修正を発表し、それに伴い欧州債利回りと伴に米国債利回りも上げ幅を縮小する場面が見られた。その際も110円割れを試したが、結局、水準は維持されていた。
英総選挙の結果が発表され、それを通過してもなお、110円台を維持できているようであれば、来週のFOMCに向け、ロング勢のモメンタムも一旦、回復が期待できそうな雰囲気もある。
一方、ユーロはECB理事会後に売りが優勢となった。ただ、ユーロドルで1.12を割り込むと押し目買いも出ており、底堅さは堅持している。
なお、時間外でポンドが急落。英総選挙が投票を終了し、出口調査が公表されている。メイ首相率いる保守党は314議席獲得の方向で過半数割れが予想されている。定数は650議席。
これを受けポンド円がポンド円が発表前から250ポイント超急落しており、139円台に一時急落した。その動きを受けドル円も109円台後半に値を落とす動き。
過半数割れはある程度想定されていたことではあるが、事前の世論調査の中には過半数を上回る可能性を示した調査もあったことから、ネガティブ・サプライズではあるようだ。ただ、ドル円やユーロ円の動きを見た限りでは、リスク回避の雰囲気までは、いまのところ出ていない模様。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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