きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は上げ一服。米国債利回りの下げがドルを圧迫したようだ。この日は自動車各社から4月の米自動車販売台数が発表されており、前年比で予想以上の減少となった。3月も自動車販売は冴えない内容で、先日発表になった第1四半期の米GDPの個人消費を押し下げていた。自動車関連は米個人消費の中で最もウェートが高い分野だけに気掛かりな材料ではある。
また、午後になると原油相場が下げを加速し、47ドル台前半まで急落している。サウジのサルマン副皇太子が、原油以外の歳入が予想以上に増加しており、赤字は予想以上に縮小したと述べたことに敏感に反応した模様。原油高を誘導しなくても問題はないとの認識につながったようだ。
ドル円はNY時間の午後には111円台に値を落とす場面も見られた。ただ、ショート勢が新規に売りを入れる動きまでは無く底堅さは堅持している印象。
一方、ユーロは堅調な動きを見せ、ユーロドルは1.0930近辺、ユーロ円は122円台半ばと、この日の高値圏での推移となった。ユーロ上昇の背景として、ECBの出口戦略期待と伴に、5月7日の仏大統領選の最終投票への安心感が広がっていることもあげられる。中道派のマクロン氏と、EU離脱を主張する極右のルペン氏との一騎打ちだが、世論調査ではマクロン氏のリードが続いている。
また、1回目の投票で敗退した極左のメランション氏の支持者の動向も安心感をもたらしているようだ。メランション氏の政治団体「Unbowed France」の支持者の3分の2、約24.3万人がオンラインで協議し、36%は白紙投票、29%棄権、34.8%がマクロン氏に投票するとの意思表示をしているという。極右のルペン氏支持はさすがに無いようだ。
ポンドも堅調でポンド円は一時145円台に上昇。ポンド円はきょうで7日続伸しており、1月に付けた年初来高値145.40付近が目先の上値レジスタンスとして意識される。
FOMCがきょうから始まった。明日の午後(日本時間4日3時)には結果が発表される予定だが、政策は据え置きが確実視されている。今回はイエレン議長の会見も経済見通しの発表も無く、注目は声明のみとなりそうだ。
先週の第1四半期のGDPをはじめ、直近の米経済指標は冴えない内容が相次いでいる。ただ、市場はあくまで一過性と見ており、現状ではFOMCメンバーも同様であろう。景気判断では触れてくる可能性がありそうだが、緩やかな成長は継続との言及に変更はないであろう。
市場は年内あと2回の利上げとバランスシート縮小開始をメインシナリオに置いているが、今回のFOMCがその見方に変化を与えることはないものと思われる。むしろ、インフレに関して強めの表現があるかもしれない。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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