【NY市場】ドル円は109円台 黒田総裁やムニューシン長官の発言も支援

 きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となった。米国債利回りが上昇していることや、決算が好調で米株式市場も反発したことなどが
ドル買い戻しに繋がっている。ドル円は109円台を回復。G20財務相・中央銀行総裁会議でワシントンを訪問している黒田日銀総裁の発言や、ムニューシン米財務長官の発言も材料視された。

 黒田総裁は「出口戦略を協議するのは時期尚早で、資産購入やマネタリーベース拡大のペースは当面現状維持する」と述べていた。また、ムニューシン長官は「日夜、税制改革に取り組んでおりまもなく、改革案を公表する。年内までには法案は成立するだろう」と述べていた。

 ドル円は一時109.50手前まで上昇。ただ、ダウ平均の上げ幅も一時200ドルを超え、米国債利回りも上昇し条件は揃っていたもののきょうのところは、109.50水準を試そうという動きまでは見られなかった。その付近での売り圧力も根強いようで、109.50より上にはストップも観測されていたが、付けに行く気配まではまだない。

 先週は心理的節目の110円をブレイクし、108円台前半まで一気に下落した。この展開に、ロング勢も慎重になっているものと見られ、北朝鮮問題や仏大統領選を控える中、上値へのモメンタムを高めるだけの機運はまだ、出ていないようだ。

 ユーロドルは上に往って来いの展開。一時1.07台後半まで上昇したものの、1.07台前半に戻している。ただ、ユーロ円は堅調で一時117.75付近まで上昇し、200日線に顔合わせしている。

 このところのユーロ圏の指標も好調で、市場は年内にもECBは出口戦略に舵を切るとの見方は根強い。日曜日に仏大統領選の1回目の投票が控えているが、世論調査ではマクロン氏が優勢で、EU離脱を主張する極右のルペン氏や極左のメランション氏が大統領になる可能性はまだ低いと考えられている。選挙ばかりは開いてみないとわからないが、市場には安心感も広がっているようだ。

 ポンド円は140円台に本格的に乗せている。6月8日の解散総選挙が決まり、ポンドは一気に買い戻しも機運を高めている。市場からは、昨年の国民投票以降のポンド安の大転換の可能性を指摘する声も増えている。メイ首相が総選挙で勝利し、ブレクジットの交渉の権限がメイ首相に集中することによって、安定した交渉が期待され、ポンドにとっては大きなアドバンテージとの見方が多い。現在の下馬評ではメイ首相の勝利の可能性が高いようだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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