きょうのNY為替市場はドル安が優勢となった。ドル円は107円台に下落し、ユーロドルは1.23ドル台半ばで推移。ただ、ドル安を誘発する直接的な材料は特に見当たらず、様々な要因が重なっている可能性もありそうだ。
一つは米株式市場が次第に落ち着き始めていることが挙げられる。完全に安定した言うにはほど遠いが、先週の急落からはだいぶ落ち着いて来ているようだ。先週の株急落時の為替市場の反応はドル高だったことから、その巻き返しが出ているのかもしれない。
二つ目は長期的な米財政赤字への懸念。前日にトランプ大統領が予算教書を公表したが、大型減税や国防費、公共事業の拡大で、財政赤字は9840億ドルと、7年ぶりの水準への悪化が見込まれている。これには見方が二分してり、成長が相殺するとの指摘もある一方で、やはり懸念はあるようだ。それがきょうのドル売りに繋がっているとの見方もあるようだ。
そのほか、明日の米消費者物価指数(CPI)の発表もあるのかもしれない。今月発表の米雇用統計で平均時給が予想以上の伸びを示して以降市場では、本格的にインフレ警戒が高まっている。米株の急落に端を発した世界同時株安も、それが要因の一つとも見られている。今回のCPIは1月段階の数字でまだ、インフレの兆候を示すような結果にはならないと見られている。その場合、米雇用統計以降のドル高に調整が入るとの警戒感があるのかもしれない。
ドル円はドル安のほか、円高の動きもあり二重の逆風に晒された。連休明けの東京市場で日経平均が失速したこともリスク回避の雰囲気を高めている。強いサポートが見られていた108円台前半の水準をブレイクしてストップを巻き込み、一時107.40円付近まで下落。9月に付けた昨年来安値の107.30円水準を視野に入れている。
一方、ユーロドルは買い戻しが強まり、一時1.2370ドル付近まで上昇。ただ、ユーロ円は132円台に下落する場面も見られ、ユーロ自体の買い戻しが強まっているといった雰囲気まではない。
きょうの上げで21日線を回復しており、明日以降の動きが注目されるが、特に米消費者物価指数(CPI)を通過後に再び上昇トレンドに戻すか注目される。目先の上値レジスタンスとしては、1.2380ドル、1.24ドルちょうどの水準が意識。
ポンド円は149円台半ばで推移。本日は一時148円台まで下落していたものの、NY時間に入ると売りも一服。ただ、150円台回復を目指す動きまではで出ていない。
この日発表の英消費者物価指数(CPI)は前年比で3.0%と高い水準が続いている。先日の英中銀金融政策委員会(MPC)では早期利上げの可能性も示唆し、タカ派なMPCとなったが、きょうの英CPIはその期待を裏付ける内容ではあった。
しかし、強いCPIにもかかわらず、市場は5月利上げの確率はさほど高めていない。現在は64%程度で推移。英EU離脱交渉への不透明感が再び出ていることが意識されている模様。英中銀も離脱交渉の進展を利上げの条件として挙げており、慎重な見方も出ているようだ。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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