きょうのNY為替市場は後半なってドル買いが加速した。後半にドル買いを強める特段の材料は見当たらなかったが、この日の米住宅指標や雇用指標、そして、イエレンFRB議長の議会証言などが材料として考えられる。
特にイエレンFRB議長の議会証言は「利上げは比較的早期に適切になる公算」と述べ、12月FOMCでの利上げの可能性を示唆した。ただ、市場は12月の利上げを9割がた織り込んでおり、それ自体にドル買いのインセンティブは無かったであろう。
ただ、市場の利上げ期待を直接追認したことや、質疑応答でトランプ氏が掲げている経済政策による歓迎しないインフレの可能性を指摘していたことから、トランプ氏の経済政策に対してFRBもインフレ警戒モードに入るのかもしれないとの見方に繋がったのかもしれない。
ドル円は110円台に上昇している。利益確定売りも見られたものの、下値での押し目買い意欲はかなり旺盛。109円台半ばの水準を超えると輸出企業やオプション勢の売りオーダーも相当程度観測されていたが、順調にこなし終盤に110円台に上昇。明日の東京市場は実質ゴトウビにあたり、先回りした動きがあったのかもしれない。
ユーロドルは1.06台前半まで下げ幅を拡大し、昨年12月以来の安値を更新。1.06台半ばの水準に強いサポートも観測されていたがブレイクしたことで下向きの流れを強めている。心理的節目の1.05を完全に視野に入れる展開となってきた。
ポンドドルはこの日発表の英小売売上高が強い内容だったこともあり、ロンドン時間には買戻しも入っていたが、NY時間に入って失速している。しかし、ポンドは対ユーロやクロスでは堅調。
ポンドはこれまで弱気一辺倒だったが、来年以降、若干強気で見出している向きもいる。背景にはユーロ圏の政治リスクが挙げられているようだ。米大統領選では保護主義のトランプ氏が勝利したが、来年は仏大統領選やドイツ総選挙など重要な政治イベントが控えている。なかには保護主義的な主張をしている候補者もおり、支持を拡大しているとの情報も伝わっている。
保護主義的な動きが強まれば、EU崩壊というリスクキーワードが浮上してくることから、来年はユーロは買えないと見ている向きも少なくない。そこで逃げ場としてポンドが見直されるとの見方もあるようだ。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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