きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが強まっている。ドル円は海外時間に入って100ポイント超急伸。特に材料はなく、むしろ、株式市場でIT・ハイテク株に一斉に売りが入るなどネガティブな材料のほうが多い。この日発表の米経済指標も強弱まちまち。企業の景況感指標は予想を上回る強さだったものの、輸入物価は予想を下回りインフレ鈍化懸念を裏付けている。また、鉱工業生産も予想を下回った。
ただ、株安にもかかわらずリスク回避の円高の反応もなく、ドル円は一本調子の上げを続けた。レジスタンスとなっていた110.80水準を上回り、111円台をうかがう動きも見せている。
本日の上げで200日線が控える110.65付近と21日線が来ている110.70付近を上回ってきており、明日以降の動きが注目されそうだ。
きょうはユーロが下落しており、米国債利回りも上昇。前日のFOMC、そして、本日の英中銀も投票でタカ派な姿勢が示された。特にFOMCは足元の弱い指標やインフレ鈍化傾向にもかかわらず、正常化の方針に変更はないことが強調されていた印象。これまで米国債とユーロに資金が集中的に流入していたが、米英中銀のタカ派姿勢にきょうの市場は一旦、資金を逆流させていたのかもしれない。
ユーロドルは一時1.1130近辺まで下落。強いサポートとなっていた1.11ドル台後半の水準をブレイクしており、利益確定売りを強めたようだ。前日は弱い米消費者物価(CPI)の発表で1.13ドル近くまで上昇したが、その後のFOMCで一気に上げを帳消しにしていた。長い上髭を付けて下げた格好となっており、上値警戒感も強まったものと思われる。
ロンドン時間にユーロ圏の4月の貿易収支が発表になっていたが、黒字は予想を下回る内容となった。輸出も2.1%減少している。今年に入って黒字は縮小傾向が続いており、ユーロ高が輸出に影響している可能性も指摘されているようだ。ECBが直近のユーロ高に懸念を示し始めているとの見方も出ており注意が必要。
きょうの下げで21日線を完全に下放れしており、1.11台前半の水準をブレイクするようであれば、1.10までの下げも視野に入るとの見方も出ている。
ポンドは上昇。この日の英中銀金融政策委員会(MPC)で利上げ主張が3人に増加したことで買いが強まっている。ポンド円はドル円上昇の追い風もあって141円台まで急伸。先日発表になった英消費者物価(CPI)は総合指数で前年比2.9%まで上昇している。コア指数でも2.6%。3%を超えてくると、英中銀は財務相宛てに説明の公開書簡を書くことが義務づけられている。成長は鈍いものの、昨年の英国民投票後からのポンド安が影響し、インフレは今年に入って高進している。
ただ、市場ではまだ利上げは現実的ではないとの見解が多いが、さすがに5対3での据え置き決定に市場は動揺したようだ。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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