きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが優勢となった。米雇用統計、ISM非製造業景気指数といった重要指標が発表されたが、いずれも予想を下回る弱い内容となった。特に米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が14.8万人増と予想を大きく下回ったほか、注目の平均時給は前年比で2.5%と予想通りだったものの、前回分は下方修正されている。FRBの利上げ期待を後退させる内容ではないものの、少なくともドル買いの材料ではなかった。
ただ、ドル売りの反応は発表直後だけで直ぐにドル買いに転じている。昨年末からドル売りが続いていたが、全体的にまだ、新年が始まったばかりで手探りの状況下、利益確定売りの材料に使われたのかもしれない。
ドル円は米雇用統計発表直後こそ113円ちょうど近辺まで下落したものの、113円台は維持された。きょうで3日続伸し、112.95円付近に来ている21日線を上抜いている。来週以降の動きが注目されるが、目先は12月21日高値113.65円と12月12日高値113.75円が上値レジスタンスとして意識される。
リスクとしては株高に過熱感が出ていることであろう。今週のドル円の上げはドルよりもむしろ、株高による円安が大きい。きょうもダウ平均は最高値を更新しているが、さすがに過熱感は否めない。米株式市場は来週から10-12月期の決算発表がスタートする。もし、決算に対してネガティブな反応が多いようであれば、株式と伴にドル円も調整リスクが高まる可能性もありそうだ。
ユーロドルは米雇用統計発表直後に1.2080ドル近辺まで上昇したが、買いの勢いが続かず、その後は1.2020ドル付近まで一時急速に下落。ただ、1.20ドル割れを試す動きまでは見られず、底堅さは堅持している。
昨年末からの上昇で過熱感も出ており、ここ数日は上値を抑えられる動きも出ている。調整の動きも出ているとも思われ、きょうの米雇用統計は利益確定売りには絶好のタイミングだったのかもしれない。
きょうは12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表になっていたが、総合指数で前年比1.4%、コア指数で0.9%と低インフレの状況は続いている。ECBの目標に向かう気配はまだ見られていないが、ECBは年後半にインフレは目標水準に向かい始めると見ており、予想を下回るHICPの数字は、ECBの出口戦略への期待を後退させるまでのインパクトは無かったようだ。
ポンドドルはロンドン時間に1.36ドル台前半まで値を落としていたものの、NY時間にかけて戻している。ここに来てEU離脱交渉への楽観的な見方も出ており、世界経済への期待から年内の英利上げ期待まで浮上し始めているようだ。
ポンド円は153円台半ばまで上げ幅を広げており、昨年来高値に顔合わせしている。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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