【NY市場】中国リスクの高まりでドル円は100日線まで一時下落

 きょうのNY為替市場はドル買いが一服しており、また、円相場は円高の動きが優勢となった。東京時間に発表になった中国の貿易統計で黒字が予想を大きく下回り、ドルベースでは輸出、輸入とも予想外の減少となったことで、株安とともにリスク回避の円買いが強まっている。質への逃避から米国債が買われ利回りが低下したことも、このところのドル高の動きを一服させている。

 今回の中国経済への不安が再び市場を席巻するとまでは見られていないようだが、国有企業の再編など構造改革に進展が見られず、不良債権問題も燻ることから、中国経済はこの先も常に付きまとうリスクではある。

 ドル円は、東京時間に一時104円台半ばまで上昇し、105円を目指す動きも見られていた。テクニカル的にも一旦反転の兆候を見せていた。しかし、中国貿易統計の発表で冷や水を浴びせられた格好となり、戻り売りが強まった。NY時間に入っても米株が軟調な動きを見せていたことから、100日線が控える103.30近辺まで一時下落した。

 ドル円が再び下向きのトレンドに戻るか、それともリバウンドを続けるか、明日の9月の米小売売上高と米大手銀行の決算は注目したい。小売売上高だが、ガソリン価格の上昇や自動車販売が底堅かったことで、全体では前月比で0.6%の高い伸びが予想されている。自動車とガソリンを除いたコアも前月比で0.3%の伸びが期待されているようだ。

 米小売売上高は7月、8月分と冴えない内容が続き、第3四半期の個人消費は鈍化するとの見方から、10月下旬に発表になる第3四半期の米GDPは2%台前半がコンセンサスとなっている。当初は、第2四半期が2%を下回る弱い内容だったことから、反動で第3四半期は3%台半ばの高い成長が見込まれていた。

 もし、明日の米小売売上高が予想ほど伸びないようであれば、成長鈍化への不安が高まる可能性もあろう。ただ、年内の米利上げ期待については、よほど弱い内容でなければ変化はないものと思われるが、それは既に大方織り込んでいるとも思われ、更なるドル高には、来年以降の利上げを期待できるもう一段の好材料が欲しいところではある。

 そして、米大手銀の決算だが、米利上げ期待の高まりから米国債利回りは上昇が続いているものの、株式市場では今週に入って銀行株の利益確定売りが続いている。決算を警戒している面もあるものと思われ、冴えない決算が出る可能性もありそうだ。そなると、株式市場もネガティブな反応を見せ、円相場は円高が更に進む可能性も警戒される。いずれにしろ、明日の二つのイベントは要注目ではある。

 ユーロやポンドは買戻しが優勢となり、ユーロドルは1.10台半ばまで戻している。一時心理的節目でもある1.10を割り込む場面も見られた。ポンドドルも買い戻されていたが、EU離脱問題への警戒感は根強く上値は重い。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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