市場全体にリスク回避の雰囲気が後退する中、きょうのNY為替市場は円安の動きが優勢となった。米株式市場でダウ平均が終値ベースの最高値に並ぶなど投資家のリスク許容度が改善している模様。
ハリケーン「イルマ」の勢力が弱まり、市場は米経済への影響を探ろうとしているが、第3四半期こそ見通しを下方修正する必要があるものの、復興需要もあり第4四半期にはその効果が相殺するとの見方も出始めている。当初よりは楽観的ではある。
北朝鮮問題については前日に、国連安保理が新たな制裁決議を全会一致で採択したが、米国の妥協もあり、石油禁輸措置や金委員長の資産凍結が除外されるなど予想されていたよりは緩やかな内容となった。そのことから最悪の事態はしばらく回避されるのではとの楽観的な見方に繋がっている。
ドル円はストップを巻き込んで110円台に上昇。心理的節目でもあり109円台に押し戻される場面も見られたものの、後半に110円台に戻す展開となった。一時110.25付近まで上昇。
きょうの上げで21日線を上放れする動きが見られている。目先の上値レジスタンスとしては、8月31日の高値110.65付近が意識されそうだ。今週は米消費者物価指数(CPI)や小売売上高など週後半に重要指標が控えており、リバウンド相場への信頼感はまだ小さいものの、まずは110円台を維持したことから、明日以降の動きは注目される。
一方、ユーロドルはロンドン時間からの流れを引継いで1.1920近辺に下落して始まったが、ロンドン時間の下げを取り戻している。円安の動きが再び活発化していることからユーロ円が131円台後半まで上昇ししておりユーロをサポートしていたようだ。
きょうはムニューシン米財務長官のTVインタビューが伝わっていたが、税制改革について「トランプ政権が公約している法人税の15%への引き下げは達成できるか分からない」と述べ、実現に否定的な見方を示していた。
ただ、市場はネガティブな反応を見せていない。ライアン下院議長も同様の発言を行っており15%は既に非現実的と見られている模様。なお、イエレン議長の再任については、非常に有能としてトランプ大統領が再任を検討していることを明らかにした。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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