きょうのNY為替市場、NY時間に入って上げが一服したもののドル買いの流れは続いている。米国債利回りがきょうも上昇しておりドルをサポート。きょうは新興国通貨の下げが一服していたが、米インフレや利上げ期待が強まる中、新興国通貨からドルへの資金流入が続いているようだ。
ドル円は110円台前半で推移。東京からロンドンにかけて利益確定売りから110円割れを試す場面も見られたものの、NY時間に入って米国債利回りが再び上昇に転じたことから、110円台は堅持されている。
北朝鮮が韓国との協議をキャンセルし、場合によっては米朝首脳会談のキャンセルも示唆したものの、市場は北朝鮮特有の揺さぶりとして特にネガティブな反応は見せていない。
イランやイスラエル、米中貿易問題などの地政学リスクもあるものの、株式市場は底堅く推移するなど波乱は見られておらず、リスク回避の円買いも出ていない状況。ドル円は3月下旬からのリバウンド相場を謳歌しているようだ。
現在は200日線付近での推移となっているが、上放れる動きまでは出ていない。前日高値の110.45円を突破できれば111円台を付けに行くとの見方もあるが、売り圧力も強そうだ。日本の輸出企業の想定為替レートからすれば、110円台はヘッジして置きたいところではある。
ユーロドルはNY時間に入って下げ渋る動きも見せ、1.18ドル台に戻している。ロンドン時間から売りが強まり、1.1765ドル付近まで下げ幅を拡大していた。目先は12月安値の1.17ドル台前半も視野に入れそうな気配。
イタリアで「五つ星運動」と「同盟」のポピュリスト政党による連立政権が誕生しそうな気配で、90%まで合意できているという。経済分野の合意にはユーロ離脱のメカニズムの検証や、2500億ユーロの債務免除をECBに求めることも含まれているとされており、きょうのイタリア国債は下落していた。実現性は懐疑的なものの、それらのニュースもユーロを圧迫していたようだ。
ユーロドルに対する悲観的な見方も出る中、原油価格の上昇が今後、消費者物価指数(HICP)の全体指数を押し上げることが見込まれ、ECBが反応を示す可能性も指摘されている。市場はまだその辺を織り込んでおらず、近いうちに上昇に転じるのではとの見方も一方で聞かれる。
ポンドドルは1.34ドル台後半で推移。ドル買いから上値の重い展開が続いているものの、1.34ドル台半ばに近づくと買いも入るようだ。きょうの200日線は1.35ドル台半ばに来ているが、下放れる動きまでは見られていない状況。ただ、チャート的にはもう一段の下げが予想される形状ではある。
5月の利上げは見送られたものの、カーニー英中銀総裁は年内の利上げの可能性に言及している。実際、市場も8月利上げの可能性を五分五分で見ている状況だ。ユーロ圏同様に、何よりも経済指標の好転を待っているところのようだ。今週は主要な指標の発表はもうなく、来週の4月の英消費者物価指数(CPI)の発表が待たれる。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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