きょうのNY為替市場は後半になって急速にドル買いの勢いが後退した。12月の米利上げ期待を材料に序盤はドル買いが強まった。米国債利回りが上昇して始まっていたこともドルをサポートした。しかし、日本時間0時のロンドン・フィキシングを通過した辺りから、急速に戻り売りが強まっている。特に材料は見当たらなかったが、米国債利回りも下げに転じ、原油も戻り売りに押されたことから、ドルも見切売りが強まったのかもしれない。
前日もFOMCボードメンバーである米地区連銀総裁から12月利上げに関しては前向きな姿勢も示されていた。ただ、市場も既に12月利上げをだいぶ織り込んでいるのも事実で、政策金利に敏感な米2年債利回りも0.85%まで再び上昇していた。更にCMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは12月までの利上げ確率を8割方織り込んでいる状況ではある。
なお、朝方発表になった10月の米消費者信頼感指数は98.6と予想(101.5)を下回った。8月、9月と2ヵ月連続で100の大台を上回っていたものの、今回はそれを下回っている。今月発表になっていたミシガン大消費者信頼感指数も予想を下回る内容で、消費者のセンチメントは夏場よりは弱くなっている様子もうかがえる。ただ、上半期に比べれば数字は上回っており、悲観的になるほどの弱さではない。
ドル円は序盤に104円台後半まで上昇し、ようやく心理的節目の105円を試す動きを見せ始めていた。目先の上値抵抗となっていた104.50/60水準を突破してストップを巻き込んだようだ。
ただ、105円手前での売り圧力は強かったものと思われ、105円には慎重な動きも見られていた。輸出企業など実需はもちろんのこと、オプション勢、そして、一旦ショートポジションを解消したファンド勢も105円を越えてくるようであれば、新規に売りを建てたい向きもいるものと思われる。
その後、ドル円は104円台前半まで急速に下落し、その後も本日安値圏での値動きに終始。心理的節目の105円を達成できなかったことで一旦、モメンタムを失ったようだ。
ユーロドルも序盤は売りが強まり、1.0850付近まで下落していたが、下値抵抗も強かったことから、一気に買い戻されている。一時1.09台を回復する場面も見られた。
先週のECB理事会を受けて、市場は12月にECBは量的緩和(QE)の期限延長への期待を高めている。しかし、この日発表のドイツのIfo景況感指標がドイツ企業のセンチメントが改善していることを示すなど、足元の経済指標は好調な内容も相次いでいる。
ポンドも序盤の下げを取り戻す展開。NY時間に入って伝わったカーニー英中銀総裁の議会証言も買戻しを誘ったものと思われる。総裁意は「金融政策の決定にポンド安を考慮。次回の金融政策委員会(MPC)ではポンド安に焦点」と述べたことから、来週のMPCでは追加利下げは見送りになる可能性を市場は意識したものと思われる。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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