きょうのNY為替市場、序盤のドルは買い戻しも見られていたものの上値は重く、後半になって失速している。ドル円は買戻しが優勢となり110円台後半まで戻していたが、上値は依然として重い印象で、111円手前で上げを止められていた。上値ではファンド勢などの売りオーダーも観測されていたようだ。後半になると再びドル円は下値模索の展開となり、前日安値を一時下回り110.25円付近まで下落。ただ、終わり間際になって110円を攻め切れなかったことで短期筋のショートカバーで110.50円付近まで戻している。
世界的な景気回復期待の中で市場は、日銀の出口戦略に敏感になり始めているようだ。年内に日銀が出口戦略に着手するとの見方は少数派で、日銀も否定し続ける可能性も高い。しかし、FRBやECBなど各国中銀に比べて出口戦略に遅れをとっている分、市場の思惑も高まり易い。
年初から急ピッチな下げを見せていることから、自律反発もあるだろうが、上げたところは絶好の売り場との見方も海外勢中心にあるようだ。
一方、ユーロドルは序盤に売りが強まり、1.22ドルを割り込む場面も見られた。ビルドワドガロー仏中銀総裁が「最近のユーロ高は不透明要因で、ユーロの物価への影響を監視しなければならない」と述べ、ユーロ高けん制とも取れる発言をしていたこともユーロの利益確定売りを強めた。しかし、1.22ドルを割り込むと押し目買いも旺盛なようで、後半には本日の下げを取り戻した。
ドイツ連立政権樹立が難航しているようで、ドイツの野党第1党の社会民主党(SPD)が連立協議を拒否との報道や、ECBに関する報道もユーロの戻り売りを誘っていた。ただ、ドイツ連立協議については与党の幹部から2週間以内に協議はまとまるとの楽観的な見方も伝わっている状況。また、ECBに関しては、資産購入継続について文言を削除する可能性は低いと報じられていた。ガイダンス変更は3月の方が可能性が高いという。ただ、今月の理事会で変更と見ていた向きはもともと少なかったようにも思われ、さほどサプライズはない。
ポンドも下に往って来い。ポンドドルは一時1.3740ドル付近まで下落していたが、1.38ドル付近まで戻し、ロンドン時間の下げを取り戻した。
この日は英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、全体指数は前年比3.0%となっていたものの、コア指数は2.5%と予想を下回る内容となっていた。住宅コストを含むCPIHは2.7%とこちらも予想を下回る内容。英中銀は2016年の英国民投票後のポンド安の影響によるインフレは次第に鈍化して行くとの見通しを示しているが、その見方に沿った内容が続いている。
欧州通貨のRSIは70を超え過熱感も高まっていた中で、きょうは良い冷水になっていたが、NY時間の動きを見た限りでは一向に熱は冷めやらないといった状況だ。
なお、NYタイムズ紙が「モラー特別検察官がバノン前首席補佐官を大陪審に召喚した」と伝えていたが、為替市場の反応は限定的だった。昨年であればトランプ大統領のロシア疑惑絡みの報道に市場も敏感に反応していたものの、このところは鈍くなっている印象。以前はトランプ大統領の弾劾に繋がる可能性も指摘されていたが、そこまでは行かないという見方が増えているのかもしれない。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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