今回編集部はブロックチェーンを使ったゲームSpells of Genesisを開発するスイスの会社EverdreamSoftのCEOのShaban Shaame氏にお話を伺った。
Spells of Genesis (SoG)とはアーケードゲームにブロックチェーン技術を融合させたものだ。選んだ4枚のカードを使って敵を攻撃するシンプルなものだが、このカードがブロックチェーン上のトークンとなっているため、ゲームの外で他の仮想通貨と交換することもできる。発行枚数が決まっているレアカードなどもあり、既に高値で取引されているものもある。
現在は英語のみで展開されているが今後多言語対応することが予定されている。β版公開期間中、既に6,000人のユーザーが登録しており世界中でプレイされている。
β版へのユーザーの反応は?
編集部(以下、編):先日Spells of Genesisのウェブ版がソフトローンチされたばかりですが、これまでのβ版でのユーザーからの反応はいかがでしたか。
シャバン氏(以下、シ):ユーザーの皆様からは非常に良いフィードバックを頂きました。ブロックチェーンに詳しくない人もゲーム自体を楽しみながらSoGが他のゲームと少し違うということに気づいてもらうことができました。ゲームがブロックチェーンについて知る入口になるのは非常に良い事だと思います。もちろんブロックチェーンやトークンについて詳しい人ユーザーも多く、熱心にプレイしていただきました。
現在ビットコインのファンではないメインストリームの人々にSoG広げていこうと取り組んでおり、そのためにもソフトローンチをすることに決めました。まずユーザーのデータを集めて、プレイ時間やどこでゲームを止めてしまうか等の情報を元に初めての人向けの解説などを作っていく必要があると思っています。
ゲームを通じてブロックチェーンの世界を知ってもらいたい
シ:初めてゲームをするときは、ブロックチェーン上のアセットではないカードがゲーム内でもらえるので、「ウォレット」や「ブロックチェーン」が何か分からなくても大丈夫です。もしゲームを進めてブロックチェーンのカードがもらえると分かったとしても始めは何のことかわからず必要ないと思うかもしれません。
でもゲームを進めていく中で他のプレイヤーが強いブロックチェーンカードを使って戦っているのを見るうちにウォレットをダウンロードしてみようかな、と思ってくれるのではないかと願っています。
編:仮想通貨やトークンを持っていなくても、ブロックチェーンカードを手に入れる方法はあるのですか?
シ:今後、普通のカードを進化させて最高レベルまで到達させたらブロックチェーンカードに変えられる仕組みにする予定です。また、限定のカード等を出す予定もあるので、ブロックチェーンに詳しくない人でもカードをレベルアップさせて限定のブロックチェーンカードを入手しておけば、後からそのカードを買いたいという人が出てくるかもしれません。
編:それだとブロックチェーン初心者でもゲームが好きなら楽しめそうですね!
シ:私たちは一般の人々に楽しんでもらえるゲームを目指しています。ビットコインについて何も知らない人たちは、ビットコインを使ってピザが買えると知っても、クレジットカードなどの支払い方法と比べて何か良いか分からないと言うことが多いように感じます。私はビットコインの本当の良さの1つは自分で自分のお金を管理できることだと思うのですが、これに気づいていない人が多いのではないでしょうか。
その点、ゲームのアイテムはビットコインを知らなくてもゲームで手に入れたアイテムが自分のものになって自由に売買できたり、ゲーム自体が無くなってもアイテムが自分の手元に残る体験をすると、アイテムを本当の意味で自分が所有する実感が得やすいです。そして、多くの人がこの体験をすると将来ユーザーがアイテムを本当に所有するのが普通の時代がやってくると思います。
なぜカードゲームなのか?
編:SoGは素晴らしいアイデアだと思うのですが、なぜカードゲームにしようと思われたのですか?
シ:カードゲームは他のタイプのゲームに比べても分かりやすく、成功しやすいことが挙げられます。そもそもカードは遊ぶだけでなくコレクションアイテムにもなるのでカードの価値が非常に分かりやすいです。また、新しいカードを発行するのも簡単なのでゲームにブロックチェーンを応用する最初のユースケースとしては非常によいものになると思います。
編:カードゲーム以外で何か考えられたことはありますか?
シ:色々考えてはいますが、例えばNo Man’s Sky(注1)のような、コンピューターで自動生成される世界を探索してアイテムを集めることができるゲームにブロックチェーンを使ったトークンが使われたら面白いかもしれないと思います。
*No Man’s Skyはプレイステーション4の宇宙探索ゲーム。この作品の中には1800京個以上のコンピューターで自動生成される惑星があり、惑星でアイテムを見つけ、他のプレイヤーと交換したりアップグレードしながら宇宙でサバイバルするゲームだ。
越えなければいけない障壁も
編:今後大手のゲーム会社からもブロックチェーンを使ったゲームが出てくると思われますか。
シ:何年かはかかると思いますが、そうなると思います。インターネットの時も最初は大手の企業が作るゲームとインターネットは繋がっていませんでしたが、今はどのゲームもインターネットにアクセスできます。ですが、大手にブロックチェーンが受け入れられるにはツールが揃う必要があると思います。
編:ツールとは具体的にどのようなものでしょうか。
シ:必要なツールはたくさんありますが、例えばSpells of Genesisの場合、デジタルアセットを所有しており、支払いも受け付けているので経理上の処理は問題になりました。自分たちが持っているビットクリスタルや、仮想通貨とカードを交換したときの売上を計算できるツールが必要なもののひとつです。
他にも、ビットコインのブロックチェーンを使っているのでブロックサイズの問題などもありますし、ユーザーにとってはブロックチェーンカードのやり取りにビットコインが必要となるので、その点もハードルを高くしている可能性があります。
インターネットの初期の頃のように越えなければいけない課題もたくさんありますが、だからこそ今がチャンスだとも考えています。
最後にこれだけ聞いておきたい、ランキング上位へのヒントは
編:編集部もSoGのβ版をプレイしていて、シーズンによっては毎日ランキングをチェックして上を目指してかなり頑張りました。一定のレベルまでなら通勤中や昼休みに遊ぶだけで辿りつけるのですが、特にトップ10にランクインする人達のスコアがどのように叩き出されているのかは想像もつきません。リーダーボードのトップにいるのはどんな人達なのでしょう、もしやシャバンさん自身だったりしますか?
シ:いえいえ、私を含めEverdreamSoftの人達はリーダーボードのランキングには参加できないようになっています、仕事もしないといけないですし。私自身も実はあまりたくさんカードを持ってないんですよ(笑)。トップに君臨しているのはゲームをやりこんで下さってるファンの方です。「Kingslamma」のユーザーネームでプレイしているユーザーはつい先日ゲームの様子をストリーミングしていました。彼はSpells of Genesisの戦略等を公開しているので参考になると思います。
編:これですね。
シ:こんなにプレイしてくださるファンの方がいるのは非常に嬉しいですが、彼らの期待値も高いのでいい意味でプレッシャーも感じています。一般の人に使ってもらえるブロックチェーンゲームを目指して頑張っていきたいと思います。
インタビュー:ブロックチェーン×ゲームの最先端はCoinPortalで公開された投稿です。
Source: Coin Portal
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