【NY市場】ECBの予想外の決定受けユーロはモメンタム失う ドル円は底堅さ堅持

 きょうのNY為替市場、本日のECB理事会を受けてユーロは戻り売りが強まっている。政策金利は据え置かれたが、注目の来年3月までとしている資産購入プログラムを9ヵ月間延長し2017年12月までとした。その一方で4月からの資産購入規模は現行の月間800億ユーロから600億ユーロに減額する措置も同時に発表。この措置を予想していた向きは少なかったであろう。

 予想外に資産購入規模を縮小したことで発表直後は、ユーロ買いが強まったものの直ぐに売りに転じている。購入規模は縮小したものの総量は予想の6ヵ月×800億ユーロの4800億ユーロに対し、実際の変更は9ヵ月×600億ユーロで5400億ユーロとなる。総量で見れば緩和拡大ということになるのかもしれない。

 ドラギ総裁は会見で、QE縮小については議論しなかったとし、今回の措置はQE縮小ではないことを強調していた。加えて預金金利以下の債券も購入する意向も示し、更に必要ならば緩和を拡大するとも述べている。全体的には予想以上に緩和色が強い変更だったと言える。

 銀行の不良債権問題や政治リスクなども警戒される中、緩和状態を維持し今後の動向を見守るといったところなのかもしれない。

 ユーロドルは10日線と21日線を一気にブレイクしており、上値へのモメンタムは一旦完全に失ったようだ。一時1.06を割り込んでいる。11月につけた直近安値が1.05台前半にあり再び1.05割れを目指す動きになるのか注目。ユーロ円も戻り売りが強まり一時120円台に下落する場面も見られた。

 一方、ドル円は買いが優勢となった。ECBの変更措置は予想外に緩和色の強い内容となったが、その発表後に米国債利回りが上昇したことからドル円も追随している。また、対ユーロでのドル買いがサポートした模様で一時114.35近辺まで上昇。

 きょうのECB理事会を通過し、いよいよ来週は年内最後のFOMCに向かうことになる。市場は0.25%の利上げを確実視しているが、それ自体は既に織り込み済み。焦点はFOMCメンバーの金利見通しであろう。来年の利上げについてどう見ているのか注目されるが、9月時点では2回の利上げ見通しであった。

 ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のエコノミスト調査では、来年の利上げの回数は3回というのがコンセンサスとなっているようだ。

 市場はトランプ氏の経済政策への期待から、インフレ期待も同時に高めているが、それについてはまだ、何も具体策が見えていないことから、今回のFOMCでの判断材料にはなりにくい面もあろう。ただ、足元の経済指標が好調なことを材料に強気な見通しを示すメンバーが増える可能性も否定できない。

 予想の中心値が4回の利上げを示すことはさすがにないであろうが、1回という可能性も小さく、2回か3回かが焦点になりそうだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です