香港の事実上の中央銀行である香港金融管理局(HKMA)が香港応用科技研究院(ASTRI)と共同で分散型台帳についてのホワイトペーパーを作成した。
この取り組みは両者がブロックチェーンの応用における協力を開始してちょうど2カ月の出来事である。
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HKMAは各国中央銀行の中でもそのような応用の研究や実験に積極的に取り組んでいる機関の一つだ。これまでにはロシア、カナダそしてイギリスなどの中央銀行が、電子通貨および文書認証の領域におけるこの技術のユースケースを活発にテストしていた。
このホワイトペーパーは、HKMAがASTRIとの提携によって調査したいくつかのユースケースを紹介しながら分散台帳技術について広く概観している。
「分散台帳技術の潜在的な応用は、フィンテック業界と多くの中央銀行そして規制当局がすぐに理解したように、仮想的な通貨や消費財を扱うだけにとどまらない。分散台帳技術が、ネットワークの参加者たちに対して、信頼性の高い安全かつ効率の良い方法で、情報や記録を送信および更新することを可能にしているという事実には大きな可能性が秘められている。」
ブロックチェーンが秘める可能性を認め、肯定的であるものの、規制の観点からリスクが残っていることも指摘している。特にパブリックなブロックチェーンがマネーロンダリングに利用されるリスクが挙げられている。
「そのようなプラットフォームを運用する上で、可能性のあるリスクは過小評価されるべきではない。運用上のリスク、サイバー攻撃そしてマネーロンダリングが含まれている。」と記載されている。
今後の展望
このホワイトペーパーはより広範なプロセスの最初のステップに過ぎないと香港の当局職員は述べている。
先日行われたイベントの中で、HKMAの長官Norman Chan氏は政府が更なる調査を行う計画であると語った。ASTRIは来年の中ばに論文を発表する考えであり、過去に得られた知見をまとめ「この取り組みの一部が実行できるか」を探る予定であるとChan氏は説明した。
ホワイトペーパーと時期を同じくして香港の金融企業やスタートアップ企業と規制当局との間における実験場の役割を果たすフィンテックイノベーションハブもローンチしている。
Chan氏は「このハブは高いコンピューティング能力を備え、ASTRIの専門家による後援を受けている。それによって銀行、決済サービスプロバイダー、フィンテック企業そしてHKMAがブレインストーミングによってアイディアを生み出し、新しいフィンテックソリューションを安全で効率の良い方法で評価することを可能にしている。」と語っている。
香港の中央銀行: ブロックチェーンには「大きな可能性」があるはCoinPortalで公開された投稿です。
Source: Coin Portal
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