【NY市場】ドル円は104円台維持できず ユーロも上値重くポンドのみ堅調

 きょうのNY為替市場は各通貨ペアで方向感がまちまちとなっていた。きょうは米消費者物価(CPI)が発表になっていたが、食品・エネルギーを除いたコア指数で前年比2.2%と予想こそ下回ったものの、米利上げ期待を裏付ける内容ではあった。

 ドル円は米株高もあり、序盤に104円台を回復したが、米国債利回りが下げと伴に再び103円台に下落している。104円台に入ると上値も重くなるようで、なかなか水準を維持でない展開が続いている。警戒感も根強いのか、輸出企業のヘッジ売りも多数観測されている模様。

 年内の米利上げ期待は強まっているものの、その先を市場は見始めているのかもしれない。米経済の先行きに対する不安感もある中、FRBが来年以降も断続的に利上げを継続できるかどうかは疑問符も多い。輸出企業や機関投資家としては三桁のうちにある程度、ヘッジしておきたいというニーズが強いのかもしれない。

 一部には103円台半ばの水準をブレイクするようであれば、一旦、ロング勢の見切売りが出やすい状況にあるとの指摘も聞かれる。

 一方、ユーロは軟調な動きとなり、ユーロドルは1.09ドル台に下落。きょうはポンドの買戻しが強まっており、対ポンドでの売りが圧迫した模様。一時先週の安値1.0965ドル付近に下落したが、そこから下押す雰囲気まではまだない。今週はECB理事会が予定されており、その結果を見極めたい雰囲気もあるようだ。

 きょうはポンドの買い戻しが強まっており、対ドルでは一時1.23ドル台、対円では一時128円台に上昇。英国政府のイーディー法務官が3判事で構成されるパネルの公聴会で、EU離脱をめぐるいかなる合意も議会による承認が必要となる公算が極めて大きいとの見解を示したことが買い戻しを加速させた。

 ただ、焦点となっていたメイ首相が議会の承認を得ずにリスボン条約50条を通告することが合法なのかどうかの是非についてはコメントがなかった。上下両院でEU離脱をめぐるいかなる合意も議会による承認が必要ということになれば、離脱が遅延する可能性は高まると見られている。

 また、きょうは9月の英インフレ統計が発表され、英消費者物価(CPI)は前年比1.0%と1年10ヵ月ぶりの高水準に上昇。ポンド安の影響はまだ出ていないが、この先、食品価格を中心に輸入物価上昇の影響が警戒される内容ではある。

 エコノミストの間では、CPIは2017年序盤に2.0%に上昇し、早ければ2017年終盤には3.3%まで上昇する可能性も指摘されている。現状では英利下げ期待の後退までには結びついていないが、もし、インフレ期待が目標以上に高まれば、英中銀には間違いなくプレッシャーとなりそうだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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