【NY市場】ドル円は104円台に上昇 FOMC議事録には反応できず

 きょうのNY為替市場はドル買いが続いている。先週のISM指数や米雇用統計などを受けて、市場は米利上げへの期待感を高めている。きょうは午後に、FOMC議事録の発表が予定されていたこともあり序盤からドル買いが強まっていた。ただ、午後になって9月分のFOMC議事録が公表されたが、為替市場は小幅な反応にとどまっている。むしろ、反応できなかったとも言える。

 利上げに前向きな様子も見られる一方で、労働市場のスラックや、海外を中心とした下振れリスクも指摘されている。利上げ見送りは僅差の判断との指摘もされていたが、見解が割れている様子もうかがえる。

 議事録発表前にドル高が進んでいたこともあったのか、更に上値を追うだけの利上げに向けた強い印象はなかったようだ。しかし、指標次第という点では一致しているが、今月の指標発表前のFOMCの議事録ではある。

 ドル円は序盤のドル高で104円台を回復し、ストップを巻き込んで一時104.50付近まで上昇した。前日急落していた米株がきょうは落ち着いていることも上げを支援したようだ。ドル円に関してはショート・ポジションがかなり積み上がっており、100円割れを意識していたショート勢もショートカバーを入れざるを得なくなった模様。

 9月2日の高値104.30を一時上抜いたが、FOMC議事録後も上値を伸ばせず、104円台前半で大方の取引を終えている。チャート的にはダブルボトムを形成しそうで、明日以降の動きが注目される。

 ユーロドルは売りが強まり、心理的節目の1.10割れを試す展開が見られている。ただ、1.1000付近に来るとオプション絡みの抵抗も強いようだ。この先、20億ユーロ相当の大量の清算も観測されている模様。ただ、1.10台はかろうじて維持している。ブレイクできなかったっことで、ショート勢が一旦買い戻しを入れたようだ。

 きょうのポンドは買戻しの動きが見られていた。メイ英首相がEU離脱について議会が審議するのを認めたことが好感されていたようだが、首相は審議する機会は十分にあるとしながらも採決については明言しておらず、ポンドも次第に上値が重くなった。

 首相がEU離脱は決まったこととしてリスボン条約50条を議会を承認を得ずに通告することが合法なのかの是非が裁判になっている。1週間以内に判断が下される予定だが、もし、上下両院で審議ということになれば、議会はEU残留支持が多数を占めており、離脱の1年遅延やそのものが無くなる可能性もあるという。裁判所の審理は13日と17日に予定されている。ただ、これについては恐らく合法との判断が下されると見ている向きが多数ではある。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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