きょうのNY為替市場、終盤にはドル買いの動きも見られたものの、全体的には明日の日銀決定会合とFOMCを前に方向感のない展開が続いた。上下動はあるものの、市場参加者は動向を俯瞰しており、積極的な売買は手控えられているようだ。この日発表になった米住宅指標は弱い内容だったものの、反応は限定的となっている。
ドル円は概ね101.50から102.00の間でのレンジ取引に終始。ロンドン時間の序盤には一時101.50付近まで下落した。欧州勢が明日の日銀決定会合を前に円高シナリオからドル円の売りを仕掛けたのかもしれない。ただ、NY時間に入ると膠着した展開となり、101円台半ばでの振幅が続いた。移動平均も結果待ちの雰囲気を醸し出しており、10日線と21日線はデットクロスを示現しそうな雰囲気が出ているが、鮮明には出ておらず、同じ水準で重なりあっている。
日銀決定会合については、マイナス金利の拡大などが見込まれているようだが、可能性は半々といったところ。そのほかに注目なのが「総括的な検証」であろう。国債購入をこれまでの長期ゾーンから短期ゾーン中心に移行し、イールドカーブをスティープ化させるとの観測や、緩和の軸をこれまでの国債購入からマイナス金利に移行するなど様々な観測が流れている。いずれにしろ、金融刺激策は縮小方向との雰囲気が強まれば、円高の反応が警戒される。
しかし、その日の深夜にFOMCが控えている。今回は据え置きが有力だが、声明やFOMCメンバーの金利見通し(ドットチャート)、そして、イエレン議長の会見などで、年内の利上げ期待を強調するようであれば、ドル高の反応も予想され、ドル円は上向きの圧力を受けることになる。同時にもし、株価が急落すれば、円高の反応も考えられよう。もちろん、ドットチャートで年内利上げなしの予想が何人か出るなどハト派な雰囲気が強まれば、ドル安も十分にあり得るシナリオだ。いずれにしろ、イベントを通過して、市場の流れを確認するまでは手出し無用なのかもしれない。
きょうもポンド安が続いており、ポンド円は一時131.65付近まで下落する場面も見られた。先週、ハモンド英財務相がEU離脱によりEU単一市場へのアクセスを断念する可能性があるとの報道が伝わっていたが、その報道が尾を引いており、改めてポンドの下値を意識されている模様。ポンド円も10日線と21日線のデットクロスを示現しており、8月安値の128.90付近を視野に入れる動きとなっている。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
コメントを残す