きょうのNY為替市場、ドルは利益確定売りが優勢となっているものの円安の動きも見られ、ドル円は買い戻しが強まっている。一時109.80円付近まで上昇。東京時間から買い戻しが強まっているが、ロング勢が再度参戦し、短期筋のショートカバーも活発に出ていたようだ。
ただ、きょうの上げはドル高ではなく、円安がドル円を押し上げている。ユーロやポンドなど欧州通貨に買い戻しが強まっており、クロス円も買い戻されている格好。きのうまではドル高だったものの、クロス円の下げがドル円の上値を抑えていた。きょうはその重石が取れていることがドル円の上げにつながっているようだ。
前日は米国のイラン核合意離脱で108円台まで下落していたが、一時的な下げに留まり100日線でサポートされていた。それを見てロング勢も買い戻しを入れ易くなったのかもしれない。目先は心理的節目の110円と200日線が110.20円付近に来ており上値レジスタンスとして意識される。
一方、ユーロドルは反発の動きとなっているものの、NY時間に入って伸び悩む動きが見られており、1.1840ドル付近まで値を落とす場面も見られた。ロンドン時間の朝方には1.1820ドル付近まで下落していたが切り返している。一時1.19ドル手前まで上昇する場面も見られたが、1.19ドル台は回復できていない。
きょうの買い戻しに早速、強気派からは1.20ドル台回復の可能性を指摘する向きも出ているようだ。ユーロドルの長期均衡水準は1.23から1.24ドルとも言われており、そのような見方が出てもおかしくはない。しかし、足元の原油高でインフレ警戒も出ている中、米長期金利の上昇からドル高はもうしばらく続くとの見方は根強く、短期的には1.15ドル台を目指すとの声のほうがなお優勢。
ポンドも伸び悩む動きを見せており、1.3550ドル付近に伸び悩んでいる。明日は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されている。カーニー総裁の慎重な発言や指標の弱さから、当初はほぼ確実視されていた利上げ期待が大きく後退しており、明日は据え置きがほぼ確実視されている。明日は四半期インフレ報告も同時に発表されるが、成長やインフレの見通しも下方修正が見込まれているようだ。
しかし、4月中旬以降からのポンドの下げで、既に十分に織り込んでいることや、年内の利上げ期待は根強くあり、声明や会見の内容次第ではポンドの買い戻しが強まる可能性にも留意したいところではある。
明日は4月分の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。食品・エネルギーを除いたコア指数で前月比0.2%、前年比で2.2%が見込まれている。一部には今回のCPIはドルの方向感を決めるとの見方も出ており、6月のFOMCまでで最も重要な米指標の一つとの指摘もあるようだ。FRBが緩やかな利上げ姿勢を維持するかどうかの重要な判断材料となり、もし強い数字であれば、6月のFOMCまではドル高の流れが続くとの見方もあるようだ。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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