きょうのNY為替市場はドル高が優勢となったもののドル円の上値は重い。きょうは月末ということもあって、それに絡んだ実需も出ていた模様で本邦勢も観測されている。クロス円も下落しており、円高の動きもドル円を圧迫したようだ。
ドル円は前日安値の106.80円水準をブレイクし、一時106.55円付近まで下落した。前々日の安値が106.40円付近にあり目先の下値サポートとして意識される。
一方、クロス円も売りが強まり、ポンド円やユーロ円は200日線を下回る展開が見られている。ユーロ円は130円をうかがう展開。
今月の円は主要通貨の中でパフォーマンスがトップとなった。月初の株急落でリスク回避の強まりから、円は安全資産として好まれた模様。株安による日本の投資家のモメンタム低下で、本邦の投信の外貨建て資産売却が円回帰を強めたとの指摘も聞かれる。米金利上昇でドル建て資産のヘッジコスト上昇も影響していたようだ。
ユーロドルは1.21ドル台に下落。前日のパウエルFRB議長の議会証言を通過して為替市場はドル高の流れが優勢となる中、ユーロドルは下値模索が続いている。1.22ドルを完全にブレイクした場合、ダブルトップ形成となり下向きのサインが示現。心理的節目の1.20ドルを視野に入れる可能性も想定される。
ドル買い戻しの流れも去ることながら、週末のイタリアやドイツのイベントも目先のリスクとして警戒されていた模様。特にイタリアは4日に総選挙が実施される。ベルルスコーニ元首相が率いるフォルツァ・イタリアとサルビーニ書記長が率いる北部同盟とで形成される中道右派連合が世論調査ではトップ。しかし、今回から新投票方式が採用されこともあり、過半数も含めて不透明な情勢。ただ、いずれにしろ市場が警戒しているユーロ離脱のシナリオはないものと考えられている。
ポンドが軟調。ポンド円は9月以来の146円台まで一時下落し、200日線を割り込んでいる。きょうはポンド自体の弱さも目立っていたが、英EU離脱交渉への不透明感が重しとなっているようだ。
きょうはEU側から離脱協定の草案が公表された。草案には北アイルランドとの国境設置の可能性も含まれており、メイ英首相もこの条件に同意する首相はいないと反発。また、移行期間中の単一市場アクセスの一時停止もあり得る内容となっている。合意へのハードルは依然として高そうで、市場にも不透明感が強まっている。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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