【NY市場】ドル売り優勢も株高でドル円は底堅い動き

 きょうのNY為替市場は前日に引続きドル売りが優勢となった。この日発表になったADP雇用統計は予想以上に強い内容だったものの、ドル買いの動きは限定的。

 米株はダウ平均が2万5千ドル台を達成するなど高値更新が続き、米国債利回りも上昇。ただ、ドル高の動きは盛り上がっていない。

 一部からは米株高が逆にドルの上値を抑えているとの指摘も聞かれる。昨年から最高値更新が続いていることから過熱感も出ており、ファンド勢も手を出しにくい。また、前日のFOMC議事録からもFRBの利上げは今年も続くとの見方から、米国債を買いに行く(利回りは低下)のも躊躇されるところ。

 FRBの次回の利上げは3月で既に8割程度織り込まれている中、米国への資金フローが抑制され、ドル需要がさほど発生していないとの指摘も聞かれた。

 ドル円は112円台後半に上昇。ドル高というよりもむしろ、円安がドル円を押し上げた印象で、ユーロ円やポンド円なども上値追いが続いた。東京市場が新年の取引を開始し、日経平均が741円高と大幅高で始まったことや、米株式市場も年初から3日続伸し最高値更新が続いたことから、株高によるリスク選好が円安の動きをもたらしたようだ。

 ドル円は一時112.85円付近まで上昇したが、10日線が112.90円付近、そして、21日線が113円ちょうど付近に来ており、目先の上値レジスタンスとして意識される。

 ただ、全体的に様子見気分も強かった。明日は12月の米雇用統計の発表が予定されており、その内容を確認したい雰囲気もあるものと思われる。きょうのADP雇用統計は強い内容だったが、ドル高の反応は限定的だった。明日の米雇用統計も非農業部門雇用者数(NFP)には、さほど反応は示さないかもしれない。

 最近の傾向であるが、むしろ平均時給に関心が集まりそうだ。予想のコンセンサスは前年比で2.5%と前回と変わらずの内容が見込まれている。前回は予想が高めだっただけに発表直後はネガティブな反応も見られていた。12月分のデータでもありノイズも多そうだが、今回はどうか注目される。

 ユーロドルは一時1.2090ドル付近まで上昇し、9月に付けた昨年来高値に顔合わせした。前日の下げを取り戻し強い動きが続いている。なお、ユーロ円も2015年10月以来の136円台に上昇。

 明日は米雇用統計が最注目だが、その前に12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表される。コア指数で前年比1.0%が見込まれているが、予想を上回るか、もしくは予想通りでもECBの出口戦略への期待を追認する内容となりそうだ。

 ポンド円は152円台後半に上昇。ドル安の動きが優勢となる一方で、株高からの円安も見られ、ポンド円には二重の追い風となった。一時153円手前まで上昇する場面も見られた。目先は12月に付けた昨年来高値の153.40円が意識される。

 来週以降、英議会が再開され、EU離脱交渉の第2フェーズも今後本格化してくるものと思われるが、その動向を見極めたい雰囲気もある。それまでポンドはドル相場に左右される動きも想定される。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です