【NY市場】ドル高の流れ続く 強弱まちまちの材料も年内の米利上げ期待は堅持

 きょうのNY為替市場はドル高の流れが続いている。きょうは幾つかイベントがあり、強弱まちまちだったが、基本的には米利上げ期待に変更をもたらすものは無かった。後半なってダドリーNY連銀総裁が、次回の利上げは比較的直ぐで、年内の可能性も見込まれるとの認識を示していたことも、年内の米利上げ期待を堅持させている。

 ドル円は一時103円台に値を落とす場面も見られたが、後半には104円台に戻している。きょうのイベントの中で米小売売上高と米大手銀行の決算は注目であった。大手銀の決算については債券トレーディングが好調で予想を上回る内容となり、ドル円にとってもポジティブな材料だったと見られる。

 一方、小売売上高については予想通りではあったものの、自動車やガソリンが好調で高い伸びを示した。ただ、米GDPを占ううえでは力不足と思われる。GDPの算出に使用される食品、エネルギー、自動車、建材を除く売上高は前月比で0.1%と小幅な伸びに留まっている。7月、8月分がマイナスだったことから考えても、第3四半期の個人消費は第2四半期よりは伸びが鈍化しそうだ。

 ただ、年内の米利上げ期待に影響を与えるこっとはなかった。

 目先の上値レジスタンスとしては前日高値104.65円付近と心理的節目の105円ちょうどが意識される。

 ユーロドルは売り優勢の展開が続き、1.10ドルを割り込んでいる。ドル高の流れがユーロドルを圧迫しているが、市場は下値攻めを躊躇している印象もある。来週はECB理事会が予定されている。一部ではECBはQE縮小を検討しているとの観測も出ているが、ドラギ総裁も緩和姿勢を強調していることから、少なくとも今回はタカ派な理事会にはならないとの見方が優勢。変更があるとすれば、キャピタル・キーと呼ばれるECBへの出資割合に応じてその国の国債の買い入れを行うという現在の規定を緩和する可能性はありそうだ。

 しかし、市場では年内のいずれかの時点で、ECBはこれまでの緩和拡大路線の転換を匂わせてくるとの見方は根強い。一方、年内の米利上げ期待は高いものの、現時点では7割がた織り込んでいる状態。もうしばらく下値を試しそうだが、下げ余地は小さいと見ているのかもしれない。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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