【NY市場】ジャクソンホール控え様子見の中、ドル円は先週安値付近に顔合わせ

 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となった。この日は米経済指標の発表も無く特段のドル売り材料は見当たらなかったが、米株や米国債利回りも下げて始まったことからドル売りを呼び込んだようだ。

 先週はバノン首席戦略補佐官の辞任が伝わったことで買戻しが入っていたが、今後のトランプ大統領の経済政策運営への不安感は払拭されたわけではなく、北朝鮮問題を含めてトランプ政権への不透明感がドルの上値を重くしている模様。北朝鮮問題に関しては今週の米韓軍事演習に伴い、北朝鮮が何らかの挑発をしてくるのではとの警戒感も根強い。

 市場は週後半に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるFRBのシンポジウムに関心が集まっている。イエレン議長のほか、今回はドラギECB総裁も出席の予定。

 イエレン議長は9月FOMCでのバランスシート縮小開始に言及してくることが見込まれる。しかし、市場は既にそれを織り込んでおり、注目はインフレ見通しと年内利上げについてであろう。市場では足元のインフレは鈍化傾向にあるものの、一時的要因でインフレ目標に向かって行くとの見解を議長が強調するようであれば、利上げ期待は高まりドル反転もあり得るとの見方も出ているようだ。

 ドル円は下値模索となり先週末の安値108.60付近をうかがう動きとなった。途中から米株が下げ渋り、終盤いはドル円も109円付近まで下げ渋ったのの109円台の上値は重かったようだ。

 一方、ユーロドルは買い戻しが加速し1.18台に上昇。1.17台後半に観測されていたストップを巻き込んだようだ。ドイツ連銀が本日公表した月報で「記録的な高水準にある製造業景況感と大量の受注残高が、鉱工業生産が今四半期に再び上向くことを示唆している」と述べ、今年のドイツ経済は、6月時点の予想より力強く成長する可能性があると指摘したこともユーロを支援した。好調な労働市場が引き続き個人消費を牽引するという。

 ユーロドルは8月に入り調整売りも見せていたが、トランプ政権への不透明感も強まる中、下値の固さにきょうは一旦買い戻しが出た模様。

 ただ、今週のFRBのシンポジウムにドラギECB総裁も出席する予定で、その動向を見極めようという雰囲気も強い。当初はここでドラギ総裁が出口戦略を強調して来るとの期待からユーロ高を誘発していた面もあったが、ここにきてECBは足元のユーロ高に警戒感を強め始めており、出口戦略についての言及は何もないとの見方も多くなっているようだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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