きょうのNY為替市場はドル売りが強まり、ドル円は109円台半ばまで下落している。米インフレ鈍化への懸念やトランプ政権への不透明感が強まっておりドルは売りに押された。バルセロナのテロの影響も加わって米株が大幅安となったことや、米国債利回りも下げたことでドルは再び売りのスイッチを点火したようだ。
インフレ鈍化も然ることながら、きょうはトランプ大統領への不信感が強まっていることが市場を困惑させている。前日は大統領が、CEOの辞任が相次いだことから、製造業諮問委員会と経済戦略フォーラムを解散した。先週末にバージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者らと反対派との衝突について、大統領が「双方の側」に責任があると述べたことが波紋を広げており、企業のCEOもそれに反対を表明していたようだ。
オバマケア廃案と代替案を成立させることができず、トランプ政権が掲げる経済政策の実行力に市場からも懐疑的な見方が広がっている。今後、税制改革やインフラ整備など市場が期待している本丸の経済政策の法案を成立させて行かなければならない中、またしても雑音が市場の不透明感を強めているようだ。
ドル円は109円台半ばまで下落。シャーロッツビルの衝突に関する大統領の発言に関連して辞任が噂されていたコーン国家経済会議(NEC)委員長が政権に留まる意向と伝わったことで下げ渋る場面はも見られたものの、株安が終始止まらずドル円も下値模索が続いた格好。
一方、ユーロドルは1.17台に買い戻されいる。ロンドン時間に伝わったECB議事録を受けてきょうのユーロは売りが強まっていた。議事録では、ユーロ高はファンダメンタルズの変化が反映された可能性とする一方で、将来にオーバーシュートする懸念も示された。こうした状況を踏まえて必要に応じていずれの方向にも調整する余地と柔軟性を高める必要があると指摘している。
ここ数日、ユーロも調整色を強めていた中、ECBからのけん制はユーロの利益確定売りを強めていたようだ。ただ、カウンターパートのドルがしっかりしないことから、ユーロは上値は重くなっているものの、21日線付近で値持ちの良い展開は続いている。
来週25日にワイオミング州ジャクソンホールで開催されるFRBのフォーラムにドラギECB総裁も参加する予定だが、一部報道で、そこでは金融政策の変更を示唆することは無く、秋の理事会まで現状を維持するのではとの見方が前日に伝わっていた。きょうのECB議事録からすると、その可能性は高そうな雰囲気もある。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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