【NY市場】ドル円は伸び悩むも112円台は維持 イエレン講演は反応薄

 きょうのNY為替市場は欧州通貨買いが強まり、ドルは軟調な動きとなった。ただ、円安の動きが根強く、ドル円は112円台に上昇している。この日は欧米の国債利回りが大幅に上昇していたことが為替市場にも影響した。

 ロンドン時間にドラギECB総裁が「インフレの抑制は一時的要因」との言及で欧州債利回りが急上昇しており、それが米国債にも波及している。パーカー・フィラデルフィア連銀総裁も同様の発言をしていた。

 そして、この日のイエレンFRB議長の講演にも期待が集まったが、議長は「緩やかな利上げが適切」などと、これまでの発言と変化はなく、インフレについても突っ込んだ見解は示さなかった。ドル円は一時112.45付近まで上昇する場面も見られたが、その後は112円台前半に伸び悩んでいる。

 後半にドル円を圧迫したのはイエレン議長の発言というよりもむしろ、米上院共和党がヘルスケア法案の採決を7月4日の独立記念日以降に延期すると発表したことが、重しとなったようだ。なかなか着地点が見えない中、不透明感も出ている模様。これを可決成立できなければ本丸の税制改革へは進めない。

 また、きょうは株式市場でIT・ハイテク株への利益確定売りが強まっており、これもドルの上値を圧迫したものと見られる。イエレン議長も株高をけん制する発言を行っていた。

 ただ、ドル円は112円台をしっかりと維持している。ドルの上値は重かったものの、円安の動きがサポートした。この先のスピード感はともあれ、欧米各国の中銀は出口戦略に舵を切り始めている。一方で、日銀はしばらく無理との見方が根強い。

 金曜日に全国消費者物価が発表されるが、食品、エネルギーを除いたコアコア指数で前年比+0.1%が見込まれるなど、出口戦略にはほど遠い状況にあることは確か。その点では、株安でリスク回避が高まらなければ、円売りが一番確実という面もあるのかもしれない。

 ユーロ円は127円台、ポンド円は一時144円台まで急上昇している。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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