【NY市場】ドル円は上値抵抗を突破し112円に迫る

 きょうのNY為替市場でドル円は終盤になって買い戻しが加速し、112円に迫る動きとなっている。ロンドン時間から買いが優勢となっていたものの、この日発表になった米耐久財受注が予想を下回ったことで、序盤は戻り売りが強まった。しかし、東京時間の111.30/40水準はサポートされ底堅さも見られる中、終盤になって買戻しが強まっている。強い上値抵抗となっていた111.70/80水準を突破し、一時111.90付近と112円台に迫る動きとなっている。

 米国債利回りも低下し、米株も上値の重い展開ではあった。ただ、ネガティブな外部環境の割にはドル円は底堅かった印象が強い。先週からやや兆候が出ていたが、ドルよりも円安の動きがサポートしていた印象もある。

 市場も米インフレ鈍化懸念はあるものの、FRBは正常化に向けてタカ派な姿勢を堅持している。その一方で、ユーロも上値を手掛けにくくなっている雰囲気もあり、円売りを選好している向きも増えているのかもしれない。

 この先のスピード感はともあれ、欧米各国の中銀は出口戦略に舵を切り始めている。一方で、日銀はしばらく無理との見方が根強い。今週は金曜日に全国消費者物価が発表されるが、食品、エネルギーを除いたコアコア指数で前年比+0.1%が見込まれるなど、出口戦略にはほど遠い状況にあることは確か。その点では一番確実ということなのかもしれない。

 一方、ユーロドルは序盤に買戻しが優勢となり、1.12台を回復していた。ただ、1.12台に入ると戻り売り圧力も根強い中、ドラギECB総裁の発言が伝わり、「金利は成長が回復している間は低くなければならない」との言及をきっかけに戻り売りが優勢となった。

 ポンド自体は対ドルで売り優勢だったものの、対円では堅調に推移し、ポンド円は142円台を回復した。5月初旬から6月初旬にかけての下降波のフィボナッチ38.2%戻しの水準が142円台前半にきており、完全に突破できれば、143円台半ばまでの上昇の可能が高まる。

 メイ英首相率いる保守党と北アイルランドの民主統一党(DUP)との連立協議は結局、閣外協力で合意した。連立政権の樹立はできなかったが、ひとまず、政局不安定化への懸念は後退したようだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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