きょうのNY為替市場はドル買いが強まり、ドル円は111.60付近まで一時上昇している。きょうはIT・ハイテク株も買戻しが強まり、ダウ平均も最高値を更新した。また、米国債利回りも上昇しドル円をサポートした模様。
朝方にダドリーNY連銀総裁の発言が伝わっており、インフレへ鈍化の懸念は指摘していたものの、景気拡大はまだ長く続くと確信していると述べていた。先週のFOMCではインフレ見通しは下方修正したものの、成長見通しは上方修正されていた。金利見通しも3月時点と変わりなく、正常化に向けてタカ派な印象が強いFOMCとなっている。きょうのダドリー総裁の会見はその雰囲気を追認する内容とも言える。金融引締めはまだ不十分とも述べていた。
111.50水準を超えてくると売りオーダーも観測されたが、上回って来ている。6月2日の高値111.70付近と、100日線が111.85付近に控えており、目先の上値レジスタンスとして意識される。
なお、明日の東京市場はゴトウビにあたり、輸入企業などの実需買いも期待される中、先回りした買いも出ていたのかもしれない。
一方、ユーロはNY時間に入って戻り売りを強め、ユーロドルは再び1.12ドルを割り込んでいる。その後も一本調子の下げが続き、ポイントとなっている1.1150ドル水準まで下げてきている。目先は先週サポートされた1.11ドル台前半の水準が意識される。
先週のFOMCでFRBは正常化に向けてタカ派な姿勢を堅持しており、インフレ鈍化懸念からドル売りポジションをとっていた向きもショートカバーを入れているようだ。一部には短期的に1.09ドル台への下落の可能性も指摘され始めている。
原油が下げ止まらない中では、インフレ鈍化懸念からドルの上値は限定的との声も聞かれるが、ユーロ圏の景気回復を市場がある程度織り込む中、次は米国同様にインフレの動向に焦点が移る。その場合、原油安はユーロ圏のインフレも抑制する。
とはいえ、ECBの量的緩和の拡大ペース縮小への期待は根強く、一部からは、来年初旬から拡大ペース縮小が始まり、最初は月間100億ユーロのペース縮小で開始するのではとの見方も出ているようだ。
ポンドも対ドルで下落しており、ポンドドルは1.27台前半まで下落した。デービス英EU離脱担当相の発言が伝わっていたが、英国はEUの単一市場と関税同盟から離脱し、自由貿易協定の締結を要請すると述べていた。市場ではソフト・ブレクジットへの期待も出ているようだが、現状は強硬姿勢を堅持している模様。ポンド円はドル円の上昇がサポートし、142円ちょうど付近で底堅く推移。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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