【NY市場】IT・ハイテク株が軟調でドル円は一時109.65付近まで下落

 きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りが優勢となり、一時109.65付近まで下落した。きょうの市場は米IT・ハイテク株の動きに完全に支配されていたが、きょうも同株は売りが優勢となりドル円を圧迫した。

 そのような中、この日の米3年債入札が強い内容となり、米国債利回りが一時下げに転じ、ドル円の売りに拍車をかけていた。米3年債入札は応札倍率が3倍と2015年12月以来の高水準となり強い入札となった。

 ただ、その後の米10年債入札が無難な内容だったことや、ウィルキンス・カナダ中銀上級副総裁が「カナダ中銀は刺激策の縮小が必要かどうか評価する」と発言したこと、そして、株価が下げ渋ったことなどがサポートし、ドル円は110円手前まで戻している。

 米株式市場はIT・ハイテク株の下げの一方で、エネルギー株や産業株は金曜日に引続き堅調。株式相場全体の地合いが悪化した印象はなく、今年に入って急ピッチな上げから過熱感もかなり強まっていたIT・ハイテク株に利食い売りが出ているだけだ。ドル円がそれにお付きを合いする必要は無さそうにも思われるが、ロング勢も金曜日の高値から100ポイント超下落しており、上値に慎重になっている模様。

 一方、ユーロやポンドは上値の重い動き。ユーロドルは1.12ドルを割り込む動きも見せていた。株式市場でIT・ハイテク株への売りが強まる中、ユーロ円の下落もユーロの上値を圧迫。

 週末に実施された仏国民議会選挙ではマクロン大統領の新党が圧勝したことで、ユーロは堅調な動きも見せていたが、ユーロドルは1.12ドル台前半の水準が重く、米IT・ハイテク株の下げを見て利益確定売りが出た模様。しかし、下押す動きまでは出ず、1.12ドルちょうど付近で推移した。

 IMFがイタリア経済に関するレビューを発表しており、2017年の成長見通しを従来の0.8%から1.3%に上方修正した。ただ、2018年から2020年の成長平均は1.0%と緩やかな成長に留まるとしている。ECBの正常化による悪影響を他のメンバー国よりも大きく受けるとの見方も示した。銀行のバランスシート改善が急務としている。

 ポンドの売りが続いており、ポンドドルは1.26台半ば、ポンド円は138円台まで下落している。ポンド円はきょうの下げで200日線に到達している。先週の総選挙を受けて、与党保守党内からもメイ首相への不満が高まっているようで、今後の政権運営への不透明感が強まっている。また、連立を予定している北アイルランドの保守政党である民主統一党との連立がまだ正式に決まっていないことも不安感を募らせている。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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