【NY市場】ドルの買い戻し優勢に ドル円は113円台後半まで戻す

 きょうのNY為替市場はドル買戻しが優勢となり、ドル円は113円台後半まで戻している。東京時間に一時直近安値である112.50付近まで下落していたが、強くサポートされたことで買い戻しを誘発した模様。本邦勢の買いがかなり入っていたようだ。

 市場はトランプ大統領の保護主義的な政策を警戒しており、前日も米財務長官に指名されているムニューチン氏が「過度に強いドルは米国経済に短期的にマイナスの影響を与える可能性がある」との考えを示していたことでドル売りが強まっていた。

 市場の焦点が本格的にファンダメンタルズに戻れば、ドル買い戻しの流れが復活しそうだが、まだその雰囲気ではない。115円台から112円台半ばまで急速に下落しただけに、きょうの動きは自律反発といった範囲ではある。商いも薄い。

 一方、ユーロ円は122円台を回復。ドル買いの流れの中、ユーロ自体は売りに押されたものの、ドル円の上昇がサポートした。21日線が122.20付近にきており、目先の上値レジスタンスとして意識される。

 先週のECB理事会で、ドラギ総裁は12月に示した緩和姿勢の継続を強調した。量的緩和(QE)拡大ペースの縮小についても議論が無かったとしている。

 この日発表になったPMIは経済の拡大を示唆しており、特に製造業は約6年ぶりの高水準に上昇した。発表元によると、雇用が上向いたことが寄与し、1月の雇用指数は9年ぶりの高い伸びだったという。また、供給者側に幾分価格決定力が戻り始めている兆候も見られるとしている。

 政治イベントや英EU離脱の影響も警戒される中、ユーロを慎重に見ている向きは多いが、トランプ米大統領の保護主義でドルが期待ほど上昇しなければ、ユーロはリバウンド相場がもう少し続く可能性もありそうだ。

 なお、ユーロドルは伸び悩む動きを見せ1.07台前半まで下落したものの、1.07台は維持している。

 一方、ポンドはロンドン時間の下げを取り戻しており、ポンド円は142円台に上昇した。きょうは英最高裁判所がメイ首相がEUに対してリスボン条約50条を発動し、EU離脱を通告することに議会の承認を得る必要があるとの判断を下した。

 ただ、先日のメイ首相の演説もあり、議会は承認する方向に傾いているとされ、これによって離脱に遅れが生じることはないとの見方が広がっている。ポンドは一旦売りが強まったものの、その後、買戻しが強まっている。通告の遅れはないものの、裁判所の判断は政府の強硬姿勢を議会が和らげるチャンスにつながる可能性がある。

 きょうの上昇でポンド円は200日線でサポートされ、21日線も上回ってきた。チャート的には再び上向きの流れに戻りそうな兆候も見られているがはやり、ドル円の動向がポイントになりそうだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です