【NY市場】ドル円は112円台に下落 メイ英首相演説は無事通過もトランプ発言が重し

 きょうのNY為替市場はドル売りが強まり、ドル円は112円台まで下落している。きょうの最大の話題はメイ英首相のEUからの完全離脱を明言した演説であったであろう。メイ英首相は移民規制を重視し、EU単一市場からの撤退を表明した。事前にある程度伝わっていたこともあったが、「最終案は議会で採決」との言及が市場に安心感をもたらしたようで、ポンドも急速に買い戻されている。噂で売って事実で買うといった展開といえよう。

 メイ首相の演説を警戒した円高の動きは一服したものの、ドル円は軟調な動きが続いた。トランプ氏のウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)でのインタビューが重しとなっているようだ。トランプ氏は「ドルが強過ぎるため、米企業は中国と競争できない」と言及しいた。米大統領選以降のトランプ相場も大統領就任を目前にして一服感が出てきている中で、ドル相場は敏感に反応している。今年のドル高シナリオにおいて最も警戒されていた話題の一つではある。

 金曜日のトランプ氏の大統領就任に向けてロングポジションを調整して置こうという動きも出ている模様。

 ポンドは買戻しが強まり、ポンド円は一時140円台、ポンドドルは1.24付近まで買い戻されている。前日のポンドドルはメイ英首相の演説を警戒して売りが加速し、一時1.20を割り込む場面も見られた。ただ、きょうのメイ英首相の演説を受けて急速に買戻しが強まっている。上昇率は2008年以来。

 しかし、ポンドの戻りはあくまで一時的で、上値での戻り売りを推奨する声も少なくない。EU離脱を通告してから交渉は2年間に及ぶ。英国側の立場は決して強い訳ではなく、交渉の間に様々な不透明感が高まると見ているようだ。

 ユーロドルは1.07台に上昇。ただ、リバウンド相場が続いているものの、本格的にユーロを買い戻そうという動きまでは見られていない。あくまで、今週末のトランプ氏の大統領就任式に向けた調整の範囲で、1.07台前半を超えると新規の売りオーダーも並んでいるとの指摘も聞かれる。

 今週木曜日にECB理事会が予定されている。市場では、ECBは年内にインフレ指標の上昇から出口戦略に舵を切るとの見方が少なくないが、今回は特に動きはなく、12月に発表した4月以降の資産購入プログラムの変更を確認する程度と見られている。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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