きょうのNY為替市場はユーロの買い戻しが続いた。ユーロドルは1.0765近辺まで一時上昇し、ユーロ円も底堅い動きが見られている。トランプ相場への一服感も出ており、市場は次の展開を模索している雰囲気も強い。米国債利回りも上げ幅を縮小する動きを続ける中、為替市場もドル買いが一服している。そのような中、ユーロの見直し買いが出ているようだ。
ユーロの上げを誘発している要因に明日のECB理事会がある。2017年3月までとしている月間800億ユーロ規模の資産購入プログラムを、少なくとも6ヵ月延長してくることを市場は、ほぼ確実視している。6ヵ月延長して9月までとすれば、とりあえずは、国民投票後のイタリアの政局、英EU離脱通告、そして、仏大統領選まではカバーするものと見られる。
市場の見解が分かれているのが、期限延長と同時に、近い将来にQE縮小の可能性を検討していることに言及してくるかどうかだ。もし、言及してくるようであれば、ユーロの買戻しが強まることも想定され、市場もその前にユーロドルのショートポジションを調整しておこうという動きがきょうも出ていたようだ。
ユーロ圏のインフレは低水準ではあるものの、デフレリスクは後退しており、その他の指標も足元は良好。QE縮小の可能性を検討してもおかしくはない。しかし、来年に政治リスクを控えた中で、今回の理事会でそこまで言及してくるかは未知数の部分も多く、五分五分といったところと思われる。
一方、ドル円は序盤に利益確定売りが優勢となったものの、終盤になって下げを取り戻している。米株式市場でダウ平均が上げを加速させ、ドル円も買い戻された模様。円安の動きも見られていた。ドル円は一時113.40付近まで下落していたが、114円手前まで戻す下に往って来いの展開。
ドル相場や米国債はトランプ相場に一服感が出ているものの、米株式市場は依然として最高値更新が続いている。米株は何でも追い風にしているようで、きょうは米国債利回りの下げで、通信やREIT、公益、消費関連など高配当銘柄の見直し買いが今度は出ていたようだ。地合いの強さを裏付ける動きではある。
今週に入ってドル円は115円台に到達できずに次第に上値が重くなって来ている雰囲気もある。しかし、日足ベースで見れば、まだ上値で揉み合っている状況で、もう一段の上値がありそうなパターンではある。ひとまず、明日のECB理事会や来週のFOMC待ちの状況といったところなのかもしれない。
なお、きょうはカナダ中銀が政策委員会の結果を発表し、大方の予想通り政策金利は据え置かれた。声明では「雇用改善が続いているが、米国と比較すればスラックは残る」としており、このところの指標は堅調なものの慎重姿勢は継続している。ほぼ予想通り。
発表直後から対ドルでカナダドルは買いの反応を見せていたが、どちらかと言えばドル売りが主因で、カナダ中銀の政策自体への反応は限定的だったように思われる。カナダ円の反応は小幅に留まっていた。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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