【NY市場】米経済指標を受け上下動も方向感は出ず

 きょうのNY為替市場、この日発表になった米経済指標を受けて為替相場も上下動したものの、結局、方向感は出なかった。指標は強弱入り混じったが、クリスマスムードで、市場も動意薄になっているためか、短期売買のみの動きとなった模様。上にも行けず、下にも行けずといったところであろう。

 朝方発表になった第3四半期の米GDP確報値は年率換算で3.5%に上方修正された。速報値は2%台であったが、2回の修正を経て3%台半ばまで上昇している。

 当初の予想からすれば、かなり強い印象だ。10月の速報値発表前の予想では個人消費が鈍化するとの懸念から2%台半ば程度が見込まれていた。しかし、個人消費は結局、3%台の伸びを示し、第2四半期の4.3%からはさすがに鈍化したものの高い伸びを維持し続けている。

 きょうのGDP確報値は米経済の強さを印象付けられる内容となったが、来年はこれにトランプ氏の提唱する大型減税やインフラ投資が加わると見られている。具体的なものなまだ何も見えていないが、市場にインフレ期待が高まってもおかしくはない。

 ドル円は117円台で上下動したものの、結局、117円台半ばで落ち着いている。明日はクリスマス休暇前日となることから、更に市場は動意薄になることも予想される。東京市場は天皇誕生日で休日ということもあり、ドル円のプレイヤーは更に減るであろう。

 今週に入って調整モードが強まっており、ドル円も利益確定売りが出ている。ただ一方で、下値も底堅く押し目買い意欲は強いようだ。今週の動きを見た限りでは、クリスマス休暇明けに再度、120円をトライしに行きそうな気配はまだ十分にありそうだ。

 一方、ユーロドルもこの日発表になった米PCEのデータが弱かったことから買い戻しが優勢となり、一時1.04台後半まで上昇した。しかし、上げはそこまでで、その後は1.04台前半まで伸び悩んでいる。やはり意識されるポイントとなっている1.05の蓋は重いようだ。

 来年のユーロ相場はボラティリティの高い展開を予想する向きがやはり多く、向きは下を見ている。主因は政治リスクで、オランダ、フランス、ドイツ、そして、恐らくイタリアも選挙が控えており不透明感が強いようだ。テロや移民、ポピュリズム、英EU離脱への対応等々。各国で極右政党が躍進するようであれば、EU崩壊というシナリオも台頭してくる。ただし、極右政党が躍進すればの話ではあるが。今年は今ひとつだった世論調査に来年も一喜一憂することになるのかもしれない。

 ただ、経済のファンダメンタルズという点から見れば、ECBは量的緩和(QE)の拡大ペースを縮小すると見ている向きも多い。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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