【NY市場】次の材料探しで方向感のない動き メイ英首相の演説でポンド売り

 きょうのNY為替市場は方向感のない展開が続いた。トランプ大統領の国連演説などを経て米国は北朝鮮への制裁強化を打ち出したが、それに対して北朝鮮が対抗措置として、太平洋上で過去最大級の水爆実験の可能性に言及した。市場ではリスク回避の雰囲気もなくもないが、以前ほどの反応はない。

 市場は今週のFOMCを通過して、次の材料探しの雰囲気となっているようだ。きょうは米地区連銀総裁の発言も伝わっていたが、利上げに前向きな発言も出ていた。今週のFOMCのタカ派な印象を追認する発言もあったが、特に市場の反応は限定的となっている。

 ドル円は112円ちょうど付近での振幅が続いている。111円台に入ると押し目買いも出る一方で、きょうは米株や米国債利回りも軟化していることから、上値追いの動きも見られず、狭い範囲での値動きに終始しているようだ。北朝鮮への警戒感から東京時間には、戻り売りが強まっていたが、この問題に関しては、かなり慣れてきたようにも思われる。ただ、FOMC後の上昇で上値が重くなっていたことから、週末を控えて利益確定売りのきっかけに使われたのかもしれない。

 ユーロドルはNY時間に入って戻り売りに押されており、1.1940近辺に値を落としている。ロンドン時間に発表になっていたユーロ圏やドイツのPMIが予想を上回ったことから再び1.20ドル台に上昇する場面も見られていた。ただ、今週のFOMCを受けてドルも底堅くなっており、以前のような上昇までは見られていない。今週のFOMCで年内利上げの可能性が再び高まっており、CMEが算出しているFEDウォッチでは12月FOMCでの利上げ確率を78%まで高めている。

 それでもなお、ユーロは依然として底堅さを堅持していると言えよう。米利上げについて市場ではなお、懐疑的な見方も少なくなく、年内利上げの織り込みを進めることに躊躇している向きも少なくないようだ。今後発表されるインフレ指標が下振れないという保証はないためであろう。

 一方、ECBの出口戦略の開始に関しては信頼感が高いようだ。ECB理事の間ではユーロ高を懸念する声も多いようだが現時点で、出口戦略を辞めるという選択肢まではないものと見られる。その点ではFRBよりもECBのほうが魅力的に見えているのかもしれない。

 ポンドはNY時間に入って売りが強まっている。メイ英首相のEU離脱に関する演説を受けて売りで反応。ある程度事前に想定されていた反応ではあるが理由としては、「EUの単一市場と関税同盟から離脱」と改めて言及したことや、EU離脱後の詳細のヒントが示されなかったとの見解も出ている。ポンドドルも1.3575付近から1.34台に急速に下落したが、売りの反応が一巡すると直ぐに買戻しも入り下げ渋った。メイ首相はEU離脱後も2年程度にわたり貿易関係維持に向け資金負担を続けることを提案。

 メイ首相は昨年の10月と今年1月にも大きな会見を行っているが、その時のポンド相場は、ある程度の期間に渡って反応が続いていた。しかし、今回はその時ほどの反応は見られず、直ぐに収束すると事前に見ていた向きも多かったようだ。

 しかし、終盤になってポンドの売りが強まっている。ムーディーズが英格付けを「AA2」に格下げした。見通しは「安定的」に変更している。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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