きょうのNY為替市場はややドル買いが優勢となった。朝方発表になった9月のISM製造業景気指数が予想を上回り、景気判断の分岐点である50を回復したことで、ひとまず安心感が出ている。前回のISM指数は50を下回っていたことから、米製造業が本格的に後退の流れに入るのではとの警戒感も出ていた。
ただ、ISMのホルコム氏も発表後の会見で述べていたが、米製造業は底堅さは維持されているものの、強いというわけではない。年内の米利上げを確信せるためにはもう少しデータが欲しいところであろう。
ドル円は21日線が控える101.60付近まで上昇。ただ、そこから上の抵抗も強く、102円にかけて輸出企業の売りオーダーなども控えている模様。
100円の大台はかろうじて維持されているものの、下値を模索している向きは依然として多いようだ。欧米の大手銀からは、100円を割り込むのは時間の問題で、年末までには97円とか94円といった声も出始めている。そのような中、この日のISM指数は安心感を誘っていたものの、ドル円の上値を積極的に試すまでのカタリストにはなれなかったようだ。
ユーロドルも売りが優勢になった。しかし、ポイントとなっている1.12台は維持されている。英EU離脱への警戒感からポンドが売られており、対ポンドでの上昇がユーロを支えている面もありそうだ。
しかし一方で、ユーロは上にも行けない。ドイツ銀行の資本毀損に対する不透明感は根強く、欧州金融システムに対して楽観的にはなれないようだ。結局、ユーロドルはレンジ内の推移に留まるしかないのかもしれない。
きょうはポンド売りが強まり、対ドルでは8月安値を下回り、一時1.28台前半まで下落した。この日発表になった英製造業PMIは予想を上回る強い内容となり、追加利下げ期待を後退させる内容ではあるが、ポンドの反応は限定的。
週末にメイ英首相が来年3月末までにEU離脱を通告する方針を示していた。メイ首相は国民投票の最大のテーマであった移民制限を改めて示している。人、モノ、金の移動が自由というEU単一市場の基本的な理念に反することでもあり、EU側の理解は得られそうにない。
市場は英国が移民制限を優先し、EU単一市場へのアクセスを諦めるハード・ブレグジットへの警戒感を高めている。きょうの市場は、強い英経済指標よりもハード・ブレグジットへの懸念のほうがまさっていた模様。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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