きょうの為替市場はドル売りが強まっており、ドル円は一時111円台に下落し、111.70付近まで下げ幅を拡大した。200日線が111.85付近に来ていたが、それを割り込む場面も見られている。きょうの市場はダウ平均も下落しており、米国債利回りも下げる中、さながらリスク回避の雰囲気も出ていた。
本日の東京時間に伝わっていたが、ヘルスケア法案で米上院共和党内がまとまることができず、審議入りを断念したことが、市場に不安感を与えていたようだ。トランプ大統領の経済政策は最初からつまずいており、本丸の税制改革やインフラ整備法案を予定通りに成立させることができるのか、懐疑的な見方も出ているようだ。
この2つの経済政策が実施されることを前提に現在の市場は成立している。ヘルスケア法案は一旦破棄になりそうだが、目先は債務上限引き上げ問題も迫っており、税制改革やインフラ整備に予定通り着手して行けるのか、不透明感も出ている。
ただ、ドル円は200日線を割り込むと押し目買いも旺盛で、きょうのところはサポートされ112円台に戻している。今週は日銀決定会合が金曜日に控えているが、日銀と各国中銀との出口戦略への温度差が拡大しており、為替市場では円売りがテーマになっている。ドル円もあまり下値を突っ込みたくはない雰囲気もあるようだ。目先は112円台を維持できるか注目となる。
一方、ユーロドルは1.15ドル台を一気に回復。1.14ドル台後半から1.15ドルの間には相当程度の売り圧力も観測されていたが、米議会の動きがそれを吸収させたようだ。ユーロドルはストップを巻き込む形で1.15台後半まで一時上昇。
ユーロは明後日のECB理事会を控えて慎重な動きも見られていたが、ドルも買えない、円も買えない、そして、この日の英消費者物価が予想を下回ったことでポンドも買えなくなっている
中、再びユーロに資金が集中している模様。ただ、ドラギ総裁をはじめ、ECB理事がこの動きをどう見るかはユーロにとっては気掛かりな点ではある。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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