きょうのNY為替市場は株安が止まらない中、後半になってリスク回避の円高・ドル安が強まり、ドル円は106円台前半に下落した。
この日はパウエルFRB議長の下院での議会証言が行われており「いまのところ景気過熱の証拠ない」と述べるなど、火曜日の上院での証言よりはトーンが慎重な雰囲気もあった。市場の関心を集めている米株式市場も一旦上昇したことから円安の動きも見られ、ドル円は106円台から107.20円付近まで上昇。
しかし、後半になって、米利上げ期待は依然として根強い中、ダドリーNY連銀総裁が年4回の利上げでも漸進的と述べたほか、トランプ大統領が鉄鋼、アルミへの関税賦課を正式に表明したことで保護主義への警戒感も重なり株式市場が失速、ドル円はリスク回避の売りが強まった。
きょうの下げで、ここ数日強いサポートとなっていた106.40/50円水準を下回っている。早期に回復できないようであれば、2月安値の105.55円が再び視野に入りそうだ。
一方、ユーロドルは1.22ドル台を回復。きょうは一時1.21ドル台半ばまで下落し、チャートはダブルボトムを形成していたが、終盤になって株安が加速する中、ストップを巻き込んで1.2270ドル付近まで買い戻されている。トランプ大統領の関税賦課に対してEUが対抗措置を表明するとも伝わっており、ユーロドルを押し上げたとの指摘も聞かれた。また、一部でECBが緩和バイアス削除を検討と報られたこともユーロ買いを誘っていたようだ。
4日にイタリアの総選挙が予定されており、混戦となっているが、これまでユーロ離脱を求めていた大衆迎合政党「五つ星運動」の経済相の候補の発言が伝わっており、「ユーロ離脱は求めない」と語っている。情勢への不安はあるものの、イタリアがユーロ離脱というリスクは後退している模様。
ポンド円も一時146円ちょうど付近まで下落し、200日線を下放れる展開を強めている。ポンド自体の上値の重さもある。前日のEUから提示された離脱協定草案へのメイ首相の拒否反応が強く、ポンドは不透明感を増している。英中銀の利上げ期待は高まっているものの、英中銀のカーニー総裁はEU離脱交渉の不透明感がリスクとしており、行方次第では利上げ期待も後退してしまうリスクもありそうだ。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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