【NY市場】ドル円は再び105円を試しそうな気配も 米GDP見通しに上方修正の動き

 きょうのNY為替市場は、ややドルが買い戻されている。この日発表された住宅指標は予想を下回ったが、材料視されず、米国債利回りが上昇したことや、米株も底堅く推移したことでドルは底堅く推移した。米利上げ期待が依然としてドルを下支えしている。

 きょうは9月の米前渡商品貿易収支が発表になっていたが、561億ドルの赤字と赤字幅は予想を下回り、前回からも縮小している。輸出が増加した一方で、輸入が減少した。市場関係者の中にはこの結果を受けて、週末の第3四半期の米GDPの見通しを上方修正する向きも複数出ている。現在は2.5%付近がコンセンサスとなっているが、2%台後半から、中には3%台を見込む向きも出ているようだ。もし、GDPが予想を上回るようであれば、米利上げ期待は更に高まりそうだ。

 ドル円はNY時間に入って買い戻しが優勢となり、104円台半ばまで戻した。前日は105円手前で失速し上向きのモメンタムも一旦後退していたが、きょうの動きからは、再び試しそうな気配も見られている。

 ユーロドルは朝方は一時1.0945近辺まで上昇して始まったが、その後は伸び悩んだ。1.0950から上には売りオーダーも観測され、テクニカル的なレジスタンスもある。

 ただ、1.09台はかろうじて維持されている。市場は12月のECB理事会で資産購入プログラムの期限延長が決定されるとの見方を強めている。きょうは、ECB内で期限延長はほぼ確かなものになりつつあるとの報道も伝わっていた。ただ、足元のユーロ圏の経済指標が良好で、ECBに対する追加緩和圧力は和らぐのではとの見方も出ている。ユーロ圏の国債利回りも上昇傾向が続いており、ユーロの下値を試すのもやや躊躇される面もあるのかもしれない。

 きょうのポンドは買戻しが優勢となった。対ドル、対ユーロで上昇している。前日はカーニー英中銀総裁の議会証言が行われていたが、総裁は「金融政策の決定にポンド安を考慮。次回の金融政策委員会(MPC)ではポンド安に焦点」と述べていたことから、来週のMPCでは追加利下げは見送りになる可能性を市場は意識している模様。足元の経済指標もまだ英EU離脱の影響が出ていないこともその観測を強めている。

 明日は第3四半期の英GDP速報値が発表になるが、予想では前期比+0.3%が見込まれており、予想通りであれば、利下げ見送りの期待が更に膨らむ可能性もある。

 しかし、市場の先行きへの見方は慎重だ。ポンドが歴史的水準に下落していることによって、輸入物価が上がり、個人消費は鈍化するとの警戒感も出ている。エネルギー価格の上昇も警戒される。一方でEU離脱問題への懸念から企業の設備投資は手控えられ、いずれ、経済全体を圧迫して行くとの懸念は根強い。

 更なるポンド安を見込む声はなお圧倒的に強く、下値のメドはまだまだ見えそうに無い状況ではある。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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