【NY市場】トランプ会見受けこれまでの期待を若干修正する雰囲気も

 きょうのNY為替市場はドル売りが強まった。前日のトランプ氏の会見を受けて、上値追いの雰囲気がややトーンダウンした模様。前日のトランプ氏の会見は、ロシアのサイバー攻撃と同氏のビジネスと大統領職との利益相反が中心で、経済政策に関しては、市場が期待していた大型減税やインフラ整備の具体的なヒントは無かった。これを受けて市場には、これまでの期待を若干修正する雰囲気も出ているものと見られる。

 ただ、選挙中の公言を変更した訳ではない。前日の会見は、1ヵ月前に予定されていたものが、大手報道機関とトランプ氏との確執で延期になっていたものが実現されただけのものだ。会見の中味が両者の対立点であるロシアのサイバー攻撃問題と利益相反に集中するのは致し方なかったのかもしれない。

 市場が急速に売りを強めるほどの事では無いようにも思われるが、それだけ、市場には期待感と同時に上値警戒感も強まっていた証拠とも思われる。経済政策の具体的な中味については、20日の大統領就任後ということになるのであろう。

 ドル円は一時113円台まで下落している。前日に引続き、心理的節目の115円を割り込んだことで、ロング勢の投げが出たのかもしれない。

 ただ、下がったところでは買いを推奨する向きもいる。インフレ期待の強さと、年内3回の利上げを見込むタカ派なFRBの姿勢から、米国債利回りは上昇トレンドが続き、いずれドル高の流れに戻ると見ているようだ。この日も米地区連銀総裁の発言が複数伝わっていたが、利上げに前向きな見解も多かった印象

 ユーロドルは買い戻しが優勢となり、一時1.06台後半まで上昇。ユーロドルが本格的なリバウンド相場に入るかは未知数だが、20日のトランプ氏の大統領就任までは、自律反発の可能性も出ている。

 ロンドン時間に12月のECB議事要旨が公表されていた。12月の理事会では今年3月に期限となっていた資産購入プログラムの9ヵ月の延長と、月間の購入メドをこれまでの800億ユーロから600億ユーロへの縮小が決定されている。

 月額800億ユーロと6カ月延長を見込んでいた市場にはサプライズの内容となったが、市場の予想も選択肢として示されていたようだ。9ヵ月の延長に決まった背景にはやはり、今年のフランスやドイツの選挙など政治リスクへの不透明感があった模様で、それをカバーしたかったようだ。

 そのほか、構造改革のペースの遅さが成長に水を差しているとし、労働市場に関しては、今後も予想以上に力強い可能性があるとしている。エネルギー価格上昇により、総合インフレ率は今後数ヵ月、大きく上昇する可能性も指摘した。

 ポンドは買戻しも見られたものの上値は重い印象。一部報道で、メイ英首相が来週17日に英EU離脱に関して演説するとの観測が伝わっている。それに対する警戒感がポンドを圧迫していたようだ。ポンドドルは上に往って来いの展開となった。

 今週、メイ首相はテレビのインタビューで、EU単一市場へのアクセスを断念することになっても、移民流入と立法の権限回復がEU離脱における優先事項との見解を示していた。この発言で市場は、EU単一市場へのアクセスがこれまでのようにできない「ハード・ブレクジット」になる可能性を高めていた。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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