【NY市場】トランプリスク意識しドル円は一時103円台まで下落

 きょうのNY為替市場はドル売りが強まり、ドル円は一時103円台まで急速に下落した。FBIによるクリントン氏のメール問題の再調査が決まり、あと1週間に迫った米大統領選に再び不透明感が強まっている。一部の州ではクリントン氏とトランプ氏の支持率が拮抗したとの調査も出始めており、市場はトランプリスクを強めている模様。

 この日発表になった10月のISM製造業景気指数は51.9と予想(51.7)を若干上回り、前回分も上回っていた。詳細を見ると雇用は大きく改善したものの、新規受注は低下している。一時期よりも米製造業への安心感は出ており、12月の利上げ期待を裏付ける内容ではあるが、来年の利上げ期待まで結びつくほど力強いさはまだないようだ。為替市場の反応も限定的となっていた。

 米株式市場でダウ平均が一時1万8千ドルを割り込むなど、市場全体にリスク回避的な雰囲気も出る中、ドル円は後半になって売りが加速し、一時103円台まで下落した。きょうも105円台を維持できなかったことから、明日のFOMCの結果発表を前に見切り売りが出たようだ。

 きょうの下げで10日線を下回ってきており、103円台後半にきている21日線に顔合わせしている。きょうはその水準は維持されたものの、明日以降の展開が警戒される。

 ユーロドルは一本調子の買戻しが見られ、一時1.1070近辺まで上昇した。米大統領選の不透明感を背景にしたドル売りのカウンターとしてユーロが選択されているようだ。

 ポンドはハード・ブレクジットへの懸念から上値は重く、豪ドルやカナダドルなど資源国通貨は原油安が強まっている中では手を出しにくい。円は、日銀がきょうの決定会合でインフレ目標の達成時期を18年度への先送りを決め、緩和状態は長期化しそうな気配だ。

 一方でECBも12月の理事会で資産購入プログラムの期限延長を打ち出しそうだが、こちらはQE縮小の議論も同時にちらつく状況で、足元の指標からはインフレ期待の兆候も出始めている。

 きょうも欧州債利回りは上昇を続ける中、きょうの為替市場では消去法的なユーロ買いが出ていたものと思われる。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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