【NY市場】トランプ相場一服でドル円は一時113円台前半 米雇用統計は利上げ期待裏付ける

 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となった。特に悪材料は見られなかったが、トランプ相場が一服しており、米国債利回りも低下する中、ドルも利益確定売りに押されたようだ。この日発表になった米雇用統計はまちまちの内容ではあったが、今月のFOMCでの利上げ期待に変化はない。

 失業率は4.6%に大幅に低下。リーマンショック前の2007年のバブル景気時の水準まで低下しており、完全雇用に近づいたとも言える。非農業部門雇用者数(NFP)は17.8万人と20万人は下回ったものの、完全雇用に近づいている割には堅調な増加を続けている印象。ただ、市場が注目していた賃金については前月比で低下した。前月が高い伸びだったことから反動が出たのかもしれない。

 ドル円は戻り売りが優勢となり、一時113.30付近まで下落。日曜日にイタリア国民投票やオーストリア大統領選を控えたポジション調整も出ていたものと思われる。前日に見られた円安の動きも出ていない。

 10日線が112.65付近にきていたが、その10日線付近、もしくは、112.50付近が目先のサポートとして意識されそうだ。完全に上げトレンドに入っており調整のムードはまだ出ておらず、メジャーなサポートラインよりはまだまだ上の位置にいる。

 ユーロドルは買戻しの流れが続いている。ドル買い一服が主因ではあるが、来週のECB理事会をにらんだ動きも出ているようだ。直近のインフレ指標から2017年3月までとしている資産購入プログラムの購入期限を6ヵ月程度の延長が見込まれている。ただ、これに関しては市場も既に織り込み済み。

 注目は量的緩和(QE)の縮小であろう。現在の月間800億ユーロペースでの購入規模を実際に縮小する可能性は小さいと思われる。市場も動揺にもつながるであろう。しかし、前日に一部報道で、期限延長を発表すると同時に、いずれQEを終了するシグナルを発することを検討していると伝わっていた。

 このところ後退はしていたが、その可能性は以前から言われていた。可能性としては否定できず、ドラギECB総裁の理事会後の会見は要注意となりそうだ。もっとも、日曜日のイタリア国民投票やオーストリア大統領選の結果次第では、ECBの情勢も変わる可能性もありそうだが。いずれにしろ、QE縮小を匂わすようであれば、ユーロは動きそうだ。

 ポンドの買戻しが続いており、ポンド円も144円台と堅調さを維持している。以前ほどポンドに対する悲観的な見方が後退する中、今週の動きでポンド円は200日線を突破してきている。昨年夏からの下げ相場が終了し、本格的な上げ相場に入って行くのか注目されるところではある。

 目先の上値目標として150.50付近が挙げられよう。昨年の夏場から今年10月までの下降波のフィボナッチ38.2%戻しの水準がその付近にあたる。心理的節目の150.00を含めて、まずは150円台が第1関門といったところではある。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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