今年の9月、特許権を駆使して企業からの賠償金を要求するパテント・トロールと戦うためのサービス「Unpatent」が立ち上げられた。このプロジェクトに取り組むルイス・クエンデ氏は過去にブロックチェーンでの記録管理サービスStamperyを設立しており、今回はUnpantentの中でイーサリアムを使った保険を構築しようとしている。
特許トロールがイノベーションを阻害
特許は新しく考えだされたアイデアを守るものだが、この仕組みを乱用するパテント・トロールと呼ばれる企業や組織が問題となっている。
パテント・トロールは特に海外では大きな問題となっており、使い道の無い技術の特許を取得した企業が力のない企業に対して訴訟を起こし、多額の賠償金を請求するということが起きている。このせいで社会にとって有益だったり人々の生活を良くすることができるかもしれないサービスの開発を阻んでしまっており、特許が他社からお金を巻き上げることに利用されてしまっているケースがあるのだ。
Unpatentが紹介する例ではX-planeという飛行機のフライトのシュミレーションをするアプリケ―ションの例が挙げられている。同社のブログでは、次のようなエピソードが紹介されている。ある日、X-planeアプリを開発するマイヤー氏が展示会に出展していると、突然弁護士から「あなたは特許の侵害で訴えられている」と電話があった。しかし、マイヤー氏は誰かの特許を見て今のサービスを作ったわけでもなく、全く身に覚えが無かった上に仕事中だったためその場で一旦電話を切った。
展示会が終わった後に、その弁護士にもう一度連絡をとってみるとGoogle Storeでアプリの配布を行っていたからだと告げられる。そして、訴訟になると約3年の月日と300万ドルがかかってしまうと言うのだ。これが4年前の出来事で、まだ決着はついていない。
Unpatentとは
Unpatentはこのような特許に対するクラウドファンディングの取り組みだ。
上記の例は「コンテンツのカスタマイズに特許を与るべきではない」というキャンペーンだ。ここで問題となっている特許は「蓄積したデータを使ってユーザーに合わせたコンテンツを表示する」というもので、ページ下部には「これはどのウェブサイトやアプリでも使われているもので、このような特許は存在するべきではない。200以上のビジネスからお金をゆすりとっているこの特許を取り消しにするため先行事例を探そうとしている。」とのコメントがついている。
オープンにすることでイノベーションが生まれる
1995年に生まれスペイン北部の小さな町で育ったクエンデ氏。Linuxのフリーソフトの開発を行い12歳でAsturix OSの開発で大成功を収め、さらにソフトの開発や起業を行うこととなった。
ビットコインについて知ったのは16歳か17歳の頃で、コインポータルの取材の中で彼はビットコインやブロックチェーンについて初めてきちんと知った時、Dappsなど様々な可能性がある中で「通貨の為に使われているのはただの始まりにすぎない」と思ったと話している。
「私も会社の共同設立者も、フリーソフトウェアとオープンナレッジの力でここまでたどり着くことができました。初めて特許のシステムに関わることになったとき、とても違和感を感じました。オープンソースがソフトウェアに与えた影響と同じものを特許の世界でも起こせないかと考えたのです。また、実は私の前の会社でも特許を申請したのですが、そのプロセスがいかに崩壊しているかを目の当たりにしました。」
現在スマートコントラクトを使った保険を構築中
現在はイーサリアムを使った特許トロールの被害に対する保険の開発が進められているとクエンデ氏は語る。「もうすぐ詳細が発表できる予定です。イーサリアムで誰にも管理されていないファンドを作ることで、管理者が不正を働く心配もありませんし、面倒な手続きもなくイーサリアムのコントラクトを実行することができます。」と語っている。
Unpantntは今年の9月に設立されたばかりだが、彼のアイデアがどのような形になるのか、これからの発表を楽しみにしたい。
特許トロールと戦う「Unpatent」、イーサリアムを保険に活用はCoinPortalで公開された投稿です。
Source: Coin Portal
コメントを残す