【NY市場】ドル高の流れ続く ドル円は本日高値圏に戻す展開

 きょうのNY為替市場もドル高の流れが続いてる。下げて始まった米国債利回りがプラスに転じ、ドルロング勢の勢いは止まらないようだ。米株式市場でダウ平均は上げが一服し、トランプ相場も一服といったところだが、ドルのほうはまだ根強い上値期待があるようだ。

 前日はイエレンFRB議長の議会証言で12月利上げの可能性を強く示唆しており、12月の利上げについて市場は、ほぼ確実視している。市場の注目は既に来年以降に移っているのかもしれない。来年は2回の利上げというのが9月FOMC時点でのFOMCメンバーのコンセンサスだったが、トランプ氏の財政拡大を伴う経済政策が実施されればインフレ期待が高まり、利上げのペースは従来の見通しよりも加速するとの見方にシフトしているのかもしれない。

 ドル円は序盤こそ利益確定売りで109円台に下落する場面も見られたが、110円台後半の本日高値圏まで戻す展開となった。日銀がイールドカーブ操作をこのまま堅持できるようであれば、日米の金利差は更に拡大が続くとの見方がドル円をサポートしているのかもしれない。

 ただ、さすがに過熱感は否めず、過熱感を示すテクニカル指標であるRSIは昨年6月以来の80に迫っている。買われ過ぎのラインである70をはるかに超えた水準。

 昨年6月の水準は125円台に上昇していた時の水準で直近の高値。そこから今年6月まで相場は下げが続いたが、その下降波のフィボナッチ38.2%戻しの水準が109.20付近で既に水準は超えている。38.2%戻しの水準を突破するようであれば、50%戻しの水準まで到達する可能性が高まる。その水準が112.40付近にあり、ドル・円は112円台半ばを視野に入れたことになる。

 ユーロドルは1.05台に下落し、2015年11月来の安値水準まで下落。米利上げ期待が高まる一方でECBは、12月の理事会で金融緩和を強化し資産購入プログラムの期限延長を発表するとの見方が根強い。大統領選以降、9日続落しており下落率は4%近くに達している。

 この動きを見て市場の一部にはパリティ(1.00)まで下落する可能性もあるとの見方も出始めている。この見方の背景には金融政策やインフレ期待の格差のみならず、来年の欧州の政治リスクがある。

 ただ、その可能性にはまだ懐疑的だ。パリティの可能性が指摘されたのは2015年のギリシャ問題の時以来である。その時はユーロ自体が他の通貨に対して下落したが、今回はドル高に伴うもの。あくまで米国発でユーロ発のユーロ売りではない。

 また、足元の指標だけで見れば相変わらず、低インフレではあるが、債務危機時よりは良好だ。債務危機時でさえユーロドルはパリティに達しておらず、今回の状況からすればまだその可能性は低いと思わざるを得ない。

 ポンドは全体的に軟調な動きとなっており、対ドルのみならず、対ユーロでも下落している。トランプ氏の米大統領選勝利以降、市場にはリスク選好の雰囲気も見られ、これまで一辺倒の下げを見せてきたポンドにも買戻しが入っていた。ただ、トランプ相場も一服となる中で買い戻しの動きを後退させているようだ。

 また、一部には来週のハモンド英財務相が発表する秋の編成方針を指摘する向きもいる。11月23日に公表予定だが、直近のポンド上昇に対する利益確定売りの好機との指摘も聞かれた。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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