きょうのNY為替市場はこのところのドル買いも一服している。この日発表になった米景況感指標が弱い内容だったことや、原油が急速に売られたことがドルを圧迫したようだ。米国債利回りや米株も下げたこともドル売りを誘発した模様。年内の米利上げ期待に変化はないものの、来年以降もFRBは利上げを続けて行けるのか不透明感もあるようだ。
この日はフィッシャーFRB副議長の講演が行われていたが、低金利はしばらく続く可能性と、低金利の長期化への懸念などを示していたが、市場が期待していた目先の利上げについては具体的なヒントを示さなかったこともドル売りにつながった模様。
ドル円は103円台に値を落とし、一時103.80付近まで下落している。ロンドン時間には104円台での推移が続いていたが、先週の高値104.65付近を超えて、心理的節目の105円を試す動きまでは見られず、NY時間に入って値を落とした格好。ただ、下値ではマクロ系ファンドや本邦勢の買いなども観測され下押す動きまでは見られなかった。
一方、ユーロドルは買戻しが優勢となり、1.10ちょうど付近まで戻している。ただ、1.10台を試す動きまでは見られず、1.1000付近での上下動に留まった。明日、1.0000のオプションの清算が相当程度の規模で観測されており、それに絡んだ売買も出ていたようだ。
ユーロに関しては今週のECB理事会が最大のイベントであろう。一部ではECBはQE縮小を検討しているとの観測も出ているが、ドラギ総裁も緩和姿勢を強調していることから、少なくとも今回はタカ派な理事会にはならないとの見方が優勢。しかし、市場では年内のいずれかの時点で、ECBはこれまでの緩和拡大路線の転換を匂わせてくるとの見方は根強い。いずれにしろ現時点では、QE縮小の議論は時期尚早ということのようだ。
ポンドは買戻しが優勢となり、対ドルでは一時1.22台まで上昇する場面も見られた。ポンド売り圧力は依然として根強いものの、下値では買いオーダーも散見され始めている模様。特に好材料は見あたらないが、下げ過ぎ感が強まっていることは確かで、ショート勢の買い戻しも観測されている。
ただ、リバウンドしたとしても自律反発の域は出ない可能性もある。英EU離脱問題の影響をまだ十分には織り込んでいないとの指摘もあり、足元の経済は底堅く推移しているものの、来年にかけて悪影響が顕著に出始めるとの見方も根強い。英中銀は11月の利下げは見送る可能性もあるが、次の行動は利下げとみている向きが圧倒的ではある。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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