【NY市場】米株安でドル円は上値抑えられる 貿易戦争への懸念も

 きょうのNY為替市場、終盤になって米株式市場が下げ幅を拡大しドル円を圧迫した。一部報道でトランプ大統領が、中国に対する大規模な関税と厳しい投資制限を望む考えを閣僚らに伝えた報じられている。ライトハイザーUSTR代表は、年間300億ドル相当の中国からの輸入に賦課する関税案を提示しているが、大統領はそれ以上を望んでいるという。

 朝方発表になった米消費者物価指数(CPI)が予想通りの内容だったことや、ティラーソン米国務長官の解任が発表され、米国債利回りの下げと伴にドルも下落している。

 今回のCPIや先週の米雇用統計の平均時給を受けて市場は、米利上げペース拡大期待を一服させている。また、ティラーソン米国務長官の後任にはポンペオCIA長官が就任する予定だが、貿易戦争への懸念もある一方で、影響は一時的との見方も出ていた。
 
 ドル円は朝方、107円台を回復していたものの106円台半ばに伸び悩んでいる。NY時間の早朝には107.30円近辺まで上昇していたが、米株安からドル円も追随している格好。ドル円は106.65円付近に来ている21日線を回復し反転の狼煙をあげられるか注目の動きも見られていたが、きょうのところは上値を抑えられている。

 ドル安・円安の動きが見られる中、クロス円は堅調な動き。ユーロ円は132円台を回復し、一時132.45円付近まで上昇した。きょうの上げで200日線を上抜ける動きが出ており、リバウンド流れを加速させるか注目の展開となっている。

 きょうの高値132.45円の水準は、2月初めからの下げのフィボナッチ38.2%戻しにあたる。38.2%戻しは反転相場の第1関門とも言え、突破できるようであれば、半値戻しの133.45円水準まで到達する可能性が高まる。なお、100日線もその付近に来ており、133円台半ばの水準は目先の上値メドとして意識される。

 ユーロドルは買い戻しが強まり1.24ドル台を一時回復。先週はECB理事会直後に1.2445ドル付近まで上昇したが、その後のドラギ総裁の会見などを受け失速していた。その下げを取り戻す動きが見られている。

 きょうもポンドは買い優勢で、対ドル、円で上昇している。特にポンド円は一時149円台に上昇し、200日線を上放れしているほか、21日線も回復している。リバウンドの流れを加速して行くか、明日以降の動きが注目される。きょうは英債務管理庁(DMO)が2018年度(4月スタート)の国債発行額を1029億ポンド相当とする計画を明らかにした。財政健全化が進む中で、国債発行額を2008年度以来11年ぶりの低水準に抑える計画。ポンドの追い風となっていた模様。
 
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug

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