きょうのNY為替市場はドル売りが強まっている。米株式市場はきょうも上昇しており落ち着きを取り戻しつつある中、為替市場はドル売りを強めている格好。
前日発表の米消費者物価指数(CPI)は予想を上回り、このところ市場に高まっているインフレ警戒を後押しする内容ではあった。FRBの利上げ回数が予想以上に増えるのではとの期待もある中、なぜか為替市場はドル安の流れに戻している。米財政赤字拡大や貿易赤字への懸念が理由として言われているが、あまりしっくりは来ない。
2011年から16年にかけてドル高の流れが続いたことでドル買いの活力が失われている。それに比べて回復がまだ若いユーロ圏や円のほうが魅力的との指摘は以前から多い。資産価格もまだ米国と比較すれば割安の水準にある。
とは言え、株式市場の混乱も落ち着きつつある中、米経済の強さから、少しはドル買い戻しが出ても良さそうだが、市場のドル安への期待は根強いようだ。
ドル円は106円台での下値模索が続いた。日本経済新聞が政府が黒田日銀総裁の再任のほか、副総裁に雨宮・若田部両氏の起用を検討していると伝えたことをきっかけに一時買い戻しが強まり、ドル円は短時間の間に106.25円近辺から106.80円近辺まで一気に戻す場面が見られた。特に若田部氏はリフレ派として知られる経済学者で、日銀の緩和継続への期待感が高まった模様。
しかし、ドル売り圧力が依然として強い中、上値では戻り売りが強く失速している。逆に106円割れを試す動きとなった。
一方、ユーロドルは一時1.25ドル台に上昇し、1月に付けた直近高値の1.2535ドル付近を視野に入れている。再び上値期待を復活させているが、市場ではユーロ高を嫌ってECBが出口戦略を遅らせるのではとの見方も出ている。先月、ECB理事からは「ユーロ高は見通しを不透明にする」との発言が相次ぎ、ドラギ総裁も同様の発言を行っていた。ユーロドルで1.25ドルを上回る水準はECBも看過できない範囲とも見られている。
次回3月の理事会でガイダンスを変更してくると見られているが、目先はそれを6月に延期する可能性も留意されるところではある。
ポンドドルも買いが加速しており、1.41ドル台まで一時上昇した。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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